STAR EX

過去の特集テーマ

2022年7月
2ヵ月連続! 隠れた傑作ホラーを
観る。掘る。もっと。

知る人ぞ知る傑作ホラーを2ヵ月連続でお届け!
誰もが知っているような有名作ではないものの、みどころに溢れたレアなホラー作品を集めました。
マスター素材の紛失で長らく幻と言われていたが、素材が発見され再び陽の目を見たブルック・シールズの映画
デビュー作『アリス・スウィート・アリス』、 イタリアンホラー映画の巨匠ダリオ・アルジェント監督が
『サスペリア』『インフェルノ』に続いて描く“魔女三部作”完結編『サスペリア・テルザ 最後の魔女』、
ニュージーランドのホラー映画でその長い邦題でも話題となった
『マイドク』(略題)はHDマスター版をTV初放送!
この夏、見たことがある人もない人も、この奥深いホラーの世界にどっぷりハマってみるのはいかがでしょう?

放送作品ラインナップ

STAR27/5(火)~7/8(金) よる 9:00~ 4日連続放送 /
7/16(土)~7/17(日)よる 11:00~ 2日連続放送(全5作品)

特集 深堀り解説コラム
「隠れた傑作ホラー映画を観る①」
“日本語タイトル”に原題への忠実さは必要か
(解説・文/松崎健夫)
 
映画にとって“日本語タイトル”はどうあるべきか。昨今、その議論や是非に対して、やや寛容でない傾向にあることを危惧している。原題に忠実でない、或いは、原題の意図を汲んでいない、といったケースにおいて、まだ作品そのものを観ていないはずの映画ファンたちからバッシングを受け、炎上するといった現象をしばしば目撃するようになったからだ。このような事例には、ある共通点を見出せる。それは、欧米で製作された英語作品に集中しがちだという点。「日本で公開される映画の比率は欧米の作品が高い」という理由も考えられるが、例えば、ベトナム映画、イラン映画、メキシコ映画といった1990年代以降に国際的な評価が高まった作品群において、“日本語のタイトル”に対する炎上案件を見つけることは困難だという事実もある。
つまり、ある程度の英語が理解できる日本人が増え、英語が理解できるからこそ、原題との乖離が気になるようになったということなのだろう。筆者はこの不均衡に不公平を感じている。“日本語タイトル”に原題への忠実さや意図を重視するなら、欧米の映画に限らず、あらゆる国で製作された映画に対してあまねく公平に指摘すべきではないかと思うからだ。勿論、そんなことを望んでいるわけではないのだが。

 このようなことを話題にしているのには理由がある。それは、今回の特集で放送される作品にも、「タイトルの在り方」の様々なパターンを指摘できるからだ。例えば、ダリオ・アルジェント監督の『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(07)。タイトルからも判るように、ダリオ・アルジェント監督による『サスペリア』(77)の続編的な作品だ。厳密には『インフェルノ』(80)を挟んだ<魔女三部作>の3作目で、完結編に位置する。だが、『サスペリア・テルザ 最後の魔女』の原題は、「Le Terza Madre」で「三番目の母親」という意味になる。つまり、“日本語タイトル”は原題と全く異なるものになっているのだ。そもそも、『サスペリア』における“日本語タイトル”の歴史にはいわくがある。『サスペリア』は日本で社会現象にもなった映画だが、その一端を担ったのは、作品そのものを観ていないであろう当時の子どもたちだった。テレビ番組「8時だョ!全員集合」で志村けんさんが、『サスペリア』のキャッチコピー<決して、ひとりでは観ないでください>を連呼して、爆笑をさらっていたからだ。そのブームにあやかって、配給の東宝東和は『サスペリアPARTⅡ』(75)を公開。原題を「PROFONDO ROSSO」=「深い赤」とするこのPARTⅡは、『サスペリア』の続編などではない。そもそも製作年が1975年であることからも判るように、『サスペリア』よりも前に製作された全く関連性のない作品を、日本ではPARTⅡとして公開させたのだ。現代の感覚からすれば、まさに炎上案件である。しかし、当時を知る映画ファンが激怒しているかというと、そうでもない。どちらかというと、斯様ないい加減さを楽しむような牧歌的雰囲気さえある。

『マイドク/いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか』(83)は、その長い“日本語タイトル”が公開当時話題となった作品。原題は「Death Warmed Up」=「死のウォームアップ」と、実にあっさりしたものだ。長い“日本語タイトル”を持つ映画の代表といえば、最長の記録を今なお保持するピーター・ブルック監督の『マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』(67)や、スタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(64)が挙げられる。『マイドク』は、その文脈から付けられた“日本語タイトル”なのだと解せる。監督のデヴィッド・ブライスは、後にハリウッドへ渡るも、『デビルジャンク』(89)の監督を撮影途中に解雇されたことで知られる人物。ニュージランド出身の彼は、当然『マイドク』の公開時は無名な存在。そもそもこの映画には、著名な俳優も出演していない。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督もニュージーランド出身の映画監督だが、『マイドク』はピーター・ジャクソンが日本に紹介される以前の作品。当時はまだ馴染みの薄いニュージランド製の映画に対して、話題を持たせるための作戦のひとつであったのだと推し量れる。そのインパクトある“日本語タイトル”のおかげか、『マイドク』は今なおカルト的な人気を誇っている。“日本語タイトル”に辿り着くまでの様々な事情を鑑みながら、今回の特集作品を観ると、「なるほど」と思える作品もあれば、「なんじゃこれは」と腰を抜かすような作品もある。そうやって原題と“日本語タイトル”との違いを調べ、楽しんでみるのも、また一興ではあるまいか。

写真:『マイドク いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか』(c) 1984 THE TUCKER PRODUCTION COMPANY LIMITED

特集「観る。掘る。もっと。」をスターチャンネルで観よう!
TOPに戻る

スターチャンネルとは?

スターチャンネルはBSハイビジョン3チャンネルで
映画をお届けする、プレミアム映画専門チャンネルです。

  • 最新メガヒット映画
    から不朽の名作・
    厳選セレクト作まで

  • 独占日本初放送!
    世界最高峰の
    海外ドラマ!

  • 日本で唯一!
    日本語吹替え
    専門チャンネルあり!