セルジオ・コルブッチが生んだ元祖ジャンゴ=『
続・荒野の用心棒』やセルジオ・レオーネの傑作『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』が公開された1966年を発火点として、翌1967年以降、イタリア映画界は空前の西部劇ブームに沸きかえった。年間100本近くの西部劇がイタリアやスペインの荒野で作られ、大の男たちが拳銃を手に走り回り、馬から転げ落ち、地面を転がったりした。まさにマカロニ・ウエスタン祭りだ。
天邪鬼のセルジオ・コルブッチは、ウエスタンをひと休みしてギリシャで現代アクション映画『太陽の暗殺者』[1967]を作るが大ヒットには至らず(作品の一部はクエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』[2019]の劇中に登場した)、プロデューサーに乞われて再び西部劇ワールドへ戻り、『黄金の棺』[1967]『豹/ジャガー』[1968]『殺しが静かにやって来る』[1968]と、たて続けに話題作・問題作を連発することになる、一方、セルジオ・レオーネはハリウッドからの資金を得てアメリカ・ロケを敢行した超大作『ウエスタン』[1968]の準備にかかり、脚本チームには若手映画作家ベルナルド・ベルトルッチとダリオ・アルジェントが抜擢された。