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マーティン・フリーマンが役作りのポイントを語るインタビューコメント到着/『レスポンダー 夜に堕ちた警官』

解説記事

2022.08.24

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型破りな警官“クリス・カーソン”を演じたマーティン・フリーマン(主演・製作総指揮)よりインタビューコメントが到着。本作の見どころやキャスト・スタッフの印象、 クリスになりきるための役作りについて語ってくれました。

Q:『レスポンダー 夜に堕ちた警官』について教えてください。
A:タイトルの通りレスポンダーというのは、999番(日本の110番)にかかってくるあらゆる緊急事態――例えば、おばあさんが死んでしまったという通報から放火犯、強盗犯といったことにまで対応する。通報の内容は文字通り、何でも、どんなことでも、あらゆるすべてのことですね。
Q:トニー・シューマッハの脚本を読んだ時の感想を教えてください。
A:製作のローレンス・ボーウェンが非常に興奮した様子で最初に私に脚本を送ってくれました。私も実際に脚本を読んでみて、これは他とは違う、非常に卓越した脚本だと感じました。製作委員会が作ったようなドラマ脚本ではなく、他人の手の加えられていない、トニー・シューマッハ自身が書きたいと思ったものを詰め込んだ脚本だという点が気に入りました。

彼は小説家として長年活躍していますが、今回、初めてテレビドラマの脚本を手がけたのです。つまりこれまでの小説という、今まで慣れ親しんできたスタイルや型にはまったやり方から離れて、彼が書きたいものをそのまま脚本にしたというところに私は興奮しました。
レスポンダー 夜に堕ちた警官

レスポンダー 夜に堕ちた警官

Q:クリス・カーソンというキャラクターの際立っている部分は何ですか?
A:私がクリス・カーソンを演じたいと思った理由のひとつは、クリスというキャラクターは、弱さと強さが見事に融合された人物だったからです。無口な人というのはどこか魅力的だと私は思っています。人々は自分のことをあまり語らないキャラクターに惹かれますが、クリスもそうしたキャラクターのひとりだと思うのです。

彼は非常に頭が切れ、感情も豊かですが、職業が警察官なのです。だから家庭やカウンセラーの前で心を開くことが非常に難しいし、おそらく職場では心を開かないほうが賢明かも知れない。自分なりのタイミングを選んでストレスを発散させ、人々と話もします。しかしそんな余裕もないほどに彼が対処しなくてはならない状況は切羽詰まっているのです。ひとつでも対処を間違えれば、死んでしまうかもしれないほど危うい状況に身を置いているのです。

ドラマは全部で5夜分あり、1エピソードにつき1夜分のストーリーが繰り広げられます。エピソード毎に様々な出来事が起こり、そこにドラマチックな展開が待ち受けています。12時間の夜勤シフトの間に起こる出来事に対して単独で対処したいクリスはパートナーと組むのを嫌がります。しかし本人の気持ちとは裏腹に、彼は相棒のレイチェルと組むことで次第に本当の自分に気づいていくことになるのです。
※スターチャンネル補足:スターチャンネルでは全6話構成のインターナショナル版を配信・放送します。
Q:なぜ、リヴァプール訛りの英語「スカウス(Scouse)」でクリス役を演じることにしたのでしょうか?
A:私自身はこれまでスカウスを使う役柄を演じたことはありませんでした。それなのに脚本を読んだ時の私の頭の中ではセリフがすべてスカウスになっていました。これは生粋のリヴァプール人たちの物語だと思いましたし、トニーがリヴァプール出身であることも知っていました。

彼はいつも私に、クリスは別にリヴァプール出身である必要はない、と言ってくれました。マージーサイド州※の警官が必ずしもマージーサイド出身とは限りませんからね。それでも私は、クリスは絶対にリヴァプール出身でなければいけない、と強く感じていました。それにもしスカウスをうまく演じられなければ、そこにこだわらずに自分のスタイルと自分の声で演じようと思っていました。
※スターチャンネル補足:リヴァプールは英国イングランド北西部マージサイト州の中心都市

ですから、リヴァプール出身の役者たちから私がマージーサイド州出身かと尋ねられた時は、心の底から嬉しかったです。まるで何かのテストに合格したような気持ちでした。スカウスを使いこなせるよう、私なりにかなり努力しました。

というのも、大勢のリヴァプール生まれの役者たちに囲まれながら、私だけお粗末なスカウスを披露してテレビドラマに出ることなど絶対にできませんからね。私の生まれた地方では、どこにいようが成果は自分でつかみ取らなければならないという教えがありました。ですから下手なリヴァプール訛りを見せることは有り得なかったのです。
レスポンダー 夜に堕ちた警官

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Q:新人警官のレイチェルとはどういう関係でしょうか?
A:ふたりともお互いにパートナーとして組むのを嫌がっています。クリスはレイチェルが自分のことを尊敬していないのを察しています。彼女が彼に悪い感情しかないのは、恐らく過去の彼の怪しげな仕事のせいであり、彼女がそれを知っているとクリスは考えているのです。ドラマの大半でもふたりは互いへの反感をむき出しにしています。

とはいえ、時間が進むにつれ、レイチェルはクリスのことを知るうちに、思っていたほど悪い人間ではないと思うようになっていきます。そしてふたりの間に師弟関係が芽生え始め、凍りついていた関係が変わっていくのです。

とはいえ、もしそこに一筋の光明が見えたとしても、ふたりの関係は依然難しいままです。結局のところ、お互いに安心できる仲ではないからです。ふたりはお互いに警官ですが、親友ではありませんからね。身構えて本音を明かそうとしないのも、当たり前のことですよね。
Q:クリスはどんな世界に足を踏み入れてしまっているのでしょう?
A:クリスは自分の街にも精通し、巡回している地区の事情にも詳しく、地元の情報を得るためにも、様々な人たちと信頼関係ができています。情報源のマーコはただ生きていくために悪事を行いますが、凶暴で恐しい人々というわけではありません。薬物中毒、窃盗、もしくはその他の悪行に巻き込まれているだけなのです。

クリスは彼らへの応対も優しく、彼らがどうにか無事に生きていけることを願っています。ヘロイン中毒なストリートキッドのケイシーのような人々の面倒も見ているのです。彼らを助けられるものなら助けたいと思っている。

またその一方で時に非情な態度をとることもあります。クリスのような人は何かがマズいことになっている状況や緊迫した現場に呼ばれます。その多くはメンタルヘルス、ホームレス、薬物中毒、暴力といった問題ですが、実はそこにはユーモアもあるのです。人々の生死に関わるレスポンダーのような緊急対応の職場では、どぎついユーモアも溢れていたりします。世間から忘れられたような人、ネグレクトされた人、無視された人などと関わりあっていることが、クリスにも影響を及ぼしていることは明らかです。
レスポンダー 夜に堕ちた警官

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Q:セラピーを受けるクリスについてはどのような洞察をされていますか?
A:弱さのない人間はつまらないと常に感じています。非の打ちどころのない役者なんて少しも面白くない。弱点のないキャラクターが主人公のドラマは非常につまらないものです。それでは非現実的な部分を切り抜いてヒーローのように映しているだけですからね。警官をヒーローのように描く作品もありますが、警官という仕事には本来多くの人々の犠牲があるものなのです。

クリスもそんな中のひとりであり、私たちが追うのはそんな彼の物語です。彼は妻と心が通い合わなくなっていることに思い悩みます。カウセリングは彼にとって自分を解き放てるはずの場所なのです。ところが、セラピーで状況を良くしたいと思っているのにセラピスト自身も仕事に忙殺されているせいで、誰もが懸命に対処しようとしているのにうまくいかないのです。

クリスは熱心な人物ですし、自制心もあり、必要以上に自分に罰を課するようなことはしません。でも、彼の人生はうまくいかないのです。そんな彼にもささやかな喜びがあること、自分以上に妻子を大切に思っていることは私たちにも伝わってきます。しかし、彼はどうすればうまくいくのかわからないのです。
レスポンダー 夜に堕ちた警官

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Q:カールとの関係について教えてください。
A:クリスとカールは学生時代からの仲間で、同じエリアで育ち、同じ人生を歩んできました。学生時代の仲間との関係にはよくあることですが、別々の道を歩み出したことで、その後の人生も違う方向に向いてしまう。クリスもひとつ違えばカールと同じような人生を送ることになったかも知れませんが、ただ単にそうはなりませんでした。何かが彼をまっとうな人生に導いたのです。

一方、カールは地元では中堅の麻薬売人として彼なりの人生を歩んでいます。カール自身が言うように、彼はパブロ・エスコバル(コロンビアの麻薬王)ではありません。麻薬の世界には彼の上にさらに恐ろしい人々がいるのですが、クリスにとってはカールの存在が大きな悩みの種としてのしかかっているのです。第1話の冒頭で職務中のクリスがカールからかかってきた電話を無視するシーンからもわかると思います。

友人であるけれど、それを伏せておきたくなる。それは兄弟のうちひとりはギャングスターになり、もうひとりは牧師になるようなものです。ふたりともお互いを大事に思っているものの、相手は深い裂け目の向こう側にいるのです。
レスポンダー 夜に堕ちた警官

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Q:クリスとケイシーは独特の関係でした。ケイシー役を演じた新人エミリー・フェアンとの共演はいかがでしたか?
A:エミリーのオーディション映像を見たのですが、彼女の魅力はどんな芝居が飛び出すのか、まったく予想できないところでした。すごい才能だと興奮しましたね。私たちが考えもしない動きやリアクションをするのでぜひ共演してみたいと思いました。

実際、エミリーは普通に演じたら憂鬱で、重たくなるケイシーというキャラクターに陽気さと新鮮味をもたらしてくれました。もちろん、暗いキャラクターとして演じるのは間違いではありませんが、エミリーの直感は違っていたのです。

エミリーはケイシーを元気で愉快で無礼で驚きに満ちたキャラクターに演じてくれました。彼女の役者としてのスキルはまさに驚異的です。私からのアドバイスなど、ほとんど無用でしたが、誰もが持ちたくても持つことのできないその優れた才能と人を驚かせることのできる直感力を忘れないように、とは伝えました。
Q:今回のような物語にはあなたの“優れた才能”が発揮される場となったのではないですか?
A:こうして今でも素晴らしいキャラクターを演じられたり、仕事を選べたりすることは本当に幸運です。ですからこのドラマのような脚本を読むとやはり熱が入りますね。これは過去に読んだことのないような脚本でしたし、思わず唸ってしまうような脚本を読むと嬉しくなります。

毎回、脚本を受け取ると『ゴッドファーザー』のような名作かも知れないと期待を膨らませます。読んでみて興奮するようなストーリーであって欲しい、ぜひともそんな脚本に巡り合ってみたい、と思うのです。そして、ごく稀に自分を信頼してくれる人たちのスキルと私のそれが一致した時は、ただもう最高ですね。

私も役者としてある程度の自負はありますが、それでも撮影が始まる前に何度かトニー、クリス(・ケアリー/製作総指揮)、ローレンス(・ボーウェン/製作総指揮)に、本当に主人公の役は私で良いのか、もっと良い役者を選ぶこともできたのではないか?と尋ねたことがありました。その際、トニーから、最初から私のことが構想にあり、執筆中も私をイメージしながらアテ書きをしていたと告げられて、本当に安心しました。
レスポンダー 夜に堕ちた警官

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Q:監督のティム・ミーランツとはいかがでしたか?
A:ティム・ミーランツはアーティストのソウルを持った詩人のようです。すべてのシーンに彼の心が込められています。非常に良い意味で、まるで彼はあごひげを生やした大きな子供のようです。彼は今でも私たち誰もが子供の頃に持っていたモノづくりへの大きな情熱を忘れていないのです。非常に頭の切れる“大きな子供”ですが、弱いところも見せてくれるのがまたいいのです。エゴもなく、愛すべき人物です。

彼との仕事はとても楽しかったですし、お互いに大いにリスペクトし合っていたと思います。それに私たちの間には笑いもたくさんありました。シリアスなドラマに笑いは欠かせない要素ですからね。
Q:このドラマの一味違う魅力は何でしょうか?
A:このドラマには答えはありませんが、多くの問題提起がされています。洒落たドラマではなく、混とんとしていて、陰鬱ですが、根本的なリアリティがあるのです。今までにない、型破りなドラマを目指して完成したのがこのドラマです。
レスポンダー 夜に堕ちた警官

レスポンダー 夜に堕ちた警官

『レスポンダー 夜に堕ちた警官』
原題:THE RESPONDER
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Rekha Garton© 2021 Dancing Ledge Productions
©2021 Dancing Ledge Productions, Photographer Rekha Garton.
© Dancing Ledge Productions Ltd MMXXII
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