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ブリアン&ドーナル・グリーソン兄弟インタビュー全文『フランク、アイルランドのダメ男。』

解説記事

2023.09.13

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『フランク、アイルランドのダメ男。』の製作、脚本、主演を務めたブリアン&ドーナル・グリーソン兄弟が作品の魅力を語ったインタビューの全文が到着!本編とあわせてぜひお楽しみください。

Q:『フランク、アイルランドのダメ男。』について教えてください。アイデアはどこから出てきたのでしょう?

ドーナル(以下:D):ブリアンと僕はこれまでにも何度か一緒に仕事をしていて、何か新しいことをやってみたいと思っていて。そこにブリアンから、一緒に演じられる…という点はちょっと怖かったけど…愉快な脚本を書こうと提案された。優秀な脚本家のマイケル・モロニーと共に何年もかけて原案を書いているうちに、長い形式のものをやりたいというアイデアに変わっていったんだよ。

そこからさらに数年かけていくつものバージョンを作りながら、自分たちのやりたいものを模索していた。この作品のプロデューサーになったシャロン・ホーガンとクレーリャ・マウントフォードに会った頃にはプロットが完成していたんだけど、ふたりのおかげでさらに企画が次の段階に進み、僕とブリアンやマイケルたちの力で5年の歳月をかけたプロジェクトがようやく実現したんだ。あきらめないで良かったよ!
Q:この作品を簡単にご説明していただけますか?

D:もちろん! だよね、ブリアン?

ブリアン(以下:B):え?僕がするの!?やめたほうが良いかもしれないけど…!『フランク、アイルランドのダメ男。』は、傲慢な夢想家で母親と一緒に暮らしている30代フランク・マーロンという男を中心に繰り広げられる、体を張ったドタバタコメディなんだ。ドゥーファスという親友がいるけれど、フランクにはもったいないほどいい奴で、他にも、まだ未練のある元カノや、早くフランクに家から出て言って欲しいと思っている母親も出てくる。そんな人たちとフランクが繰り広げる全6話のストーリーだよ。
Q:クレーリャとシャロンがこのプロジェクトに参加した経緯を教えてください。

B:ドーナルがシャロンのことを少し知っていたことが縁で、親切にも彼女が僕たちの原案を読んで意見を聞かせてくれたんだ。それでこのプロジェクトを立ち上げる手伝いをしてくれることになった。

D:この作品は彼女たちがいたからこそ実現できたんだ。それまでに僕たちも試行錯誤を重ねてかなり出来の良いプロットを形にしていたけど。自分たちが納得できるほどのプロットが完成するまでに2年半かかったよ。シャロンのことは少しだけ知っていたから、僕たちの間でシットコムの構成を話し合っている際に、彼女にも資料を送ってみたんだ。ラッキーなことに彼女も僕たちのアイデアを気に入って、資料をクレーリャにも回してくれたことで、ふたりが参加してくれることになった。さらにこのプロットをさらに洗練された良いものにするためのアドバイスもしてくれたんだ。彼女たちが僕たちと組んでくれて非常にラッキーでした。さらに彼女たちはこのプロジェクトをチャンネル4に提案してくれて、ドラマ化が実現した。
Q:兄弟であり子供の頃からの親友でもある人物との仕事はいかがでしたか?

D:最高でした。マイケルとは原案を書く前から一緒に仕事をしていたけど、これまで一度も真面目なものや長いものをやったことはなかった。ブリアンとは映画、短編、舞台で共演をしているけど、やはり役者として長い作品にふたりで主演したことはなくて。だからはじめは一体どれほど大変なのか想像もつかなかったけど、この作品はブリアンとでなければやれていなかったと思うよ。僕たちは様々なテーマやアイデアを出し合ったんだ。

何より誇らしいのは、それらのアイデアがすべてがどこのシリーズに生かされたこと!これはひとつのドラマ作品ではあるけど、そこには僕たち兄弟の異なる視点やそれぞれのユーモアのセンスが込められている。こうしてやり遂げられたことが今でも信じられないような気がする。感激しているし、作品を世に送り出すことができて本当に嬉しく思うよ。
Q:出演者も豪華なラインナップですね。ポム・ボイド、セーラ・グリーン、リズ・フィッツギボンといった女優陣も名を連ねています。彼女たちとの共演はいかがでしたか?

D:素晴らしい共演だった!各キャラクターにふさわしい役者を探すのに長い時間がかかりました。どの役者も各キャラクターに色々なタイプのアプローチをして見せてくれた。セーラとは以前からの知り合いだったけれど、ポムとは顔見知り程度だった。リズは彼女が最初のセリフを言った瞬間からもう決まりだったね。みんな素晴らしい演技を見せてくれたし、とても楽しく共演できる人たちだった。

僕が本当に嬉しく感じた部分は、劇中の彼女たちは単にフランクを非難するための存在ではなく――ストーリーが進むにつれ、彼女たちもフランクと同じように身勝手なところもあり、人生で大きな間違いを犯しやすい人たちだということが分かってくるところだよ。僕たちは彼女たちの本当の姿が明らかになっていく過程をすごく楽しく感じていましたし、ポム、サラ、リズも自分たちが演じるキャラクターへの理解がとても素晴らしかったんだ。だから、彼女たちがそれぞれのキャラクターを演じてくれたことに僕たちはとにかくワクワクしていたよ。

B:みんなキャラクターに見事に命を吹き込んでくれ、僕たちの抱えていた懸念を解決してくれた。「このキャラクターにはどうアプローチするのがベストだろうか?」と悩んでいたけれど、いざ一緒にセリフを読んでみると相手のほうがその問題を解決してくれるんだ。共演者が彼女たちで本当にラッキーだった。
Q:お父様のブレンダン・グリーソンも最終話で見事なゲスト出演を果たしていますね。あなたたちがお父様もオーディションしたのですか? 共演した感想もお聞かせください。

B:父が演じたキャラクターはかなり初期の頃からアイデアとして出ていたんだ。とはいえ、当初はどこにもハマらなかったんだけど、その問題は主人公の「フランク」が解決してくれた。

エピソードが終盤に差し掛かってきて、再びこのキャラクターについて話をしていた時に、「おい、もしこの役を親父が演じてくれたらどうだろう、最高じゃないか?」と思ったんだ。ありがたいことに父も僕たちのオファーを快諾してくれた。撮影はもちろんとても楽しかった。とりわけ撮影終盤と再撮影の頃は最高だったよ。
Q:各エピソードに映画のパロディのような要素がありますね。真似をする作品のチョイスをどのようにして決めたのですか?

D:打ち合わせをしている中で、映画のパロディを入れたほうが絶対に面白くなるということになったんだ。ただしそれは、あくまでも軽いタッチで――各エピソードに1作ずつ、やりすぎない程度に、という意味でね。かなり初期の打ち合わせで3人の口から揃って出た作品名が、『タクシー・ドライバー』だった。『タクシー・ドライバー』のロバート・デ・ニーロを気取っているくせに運転ができないフランクのモノマネからストーリーの幕を開けるのが笑えるのではないかと思ったんだ。『タクシー・ドライバー』のロバート・デ・ニーロはアンチヒーローではなく紛れもないヒーローだと思い込んでいるフランクの姿を見せることで彼の人柄を伝わるからね。とはいえ、あくまでも強烈なパロディを見せるのではなく、それとなく自然とストーリーの中に入れているよ。
Q:お気に入りのシーンやセリフなどはありますか?

B:ポストプロダクションの間に、時々連絡を受けて(コロナ禍の間にほとんどすべての編集作業が済んでいた)、例えば「愛しているよ、フランク」といった、セットでも言ったセリフだけを再録した。ちなみこれは、ピーター=ブライアン(演じたのはトム・ヴォーン=ローラー)のセリフだけどね。あとは第3話のスパのシーンや、父との共演シーンは最高だったし、父はスタントもぜひとも自分でやる、とこだわってくれたんだ。

D:撮影が3分の2まで終わったところで最初のロックダウンになってしまった。仕方なく家に戻ったよ。きっとイライラするだろうと思っていたけど、パンデミックのせいで生じたオフを挟んだおかげで、不思議なことに再び現場に戻れることすごく幸せでラッキーに感じた。だからすべてが最高に感じられたよ。

最初の方の撮影でジャクジーに入るはずのドゥーファスが、実は陰毛を剃り落としていたという設定のシーンがあった。いざ撮影になると周りに大勢のマスクや手袋やアイガードを装着した撮影スタッフが、ジャクジーに腰かけている僕たちに視線を注いでいるんだよ。しかもその間、トム演じるピーターはずっとスパのスタッフ役のひとりをナンパしようとしている。

ドゥーファスが陰毛を剃り落とした設定だったので、僕も実際に剃らなくてはならず、こっそりと剃ってみたものの、結局失敗して剃刀負けした部分をメイクでカバーしなくてはならなかったんだ。よりによってそんな日に自分の兄弟と一緒にジャクジーに入るなんて、微妙な気分になったよね。他の仕事では絶対にありえないことだろうね。
Q:撮影はどちらもコロナ禍のダブリンとベルファストで行われましたね。今回の撮影のためにアイルランドに戻った時のお気持ちを教えてください。

B:再撮影のためにベルファストに戻ることができて本当に嬉しかった。僕たちにとって本当に思い入れの強い場所だと痛感した。コロナ禍ということで、撮影には多くのルールや規制があり、そこはどうにも馴染めなったけど、そのおかげでより一層このドラマに対する思いも強くなったし、無事に撮影を終えることができて有難いと思えた。撮影期間は6週間だったのだけど、その5週間目に入った3月にロックダウンで撮影を中止せざるを得なかった。でもチャンネル 4の寛大な判断のおかげで、制作を継続するための時間の猶予と撮影再開の許可が下りたんだ。そのおかげで再びアイルランドに戻ることができたよ。

D:ロケ地をベルファストだけにするのはどうか、と提案されていた時期があった。ベルファストには様々なロケ地があるので、ダブリンの代替地として使えるのではないかということで。でもブリアンは立派で、「本物のダブリンの雰囲気を伝えたいからそれではだめだ」と強いこだわりを示した。そのおかげでロケ地の大半をダブリンで撮影することができたんだ。

撮影にはアイルランドや北アイルランドのスタッフと、アイルランド人キャストが数多く集まっていた。そのおかげでまるで地元で撮影しているような気になったよ。しかも僕たち自身は家族だから、ダブリンにブリアンがいることも嬉しかった。地元での撮影は、僕たちにとってはまるでご褒美のようだったね。
Q:このドラマにはアイルランド人の素質やアイルランド人特有の他愛なくてダークで素晴らしいコメディのセンスが描かれていますね。その気質についてお考えになったことはありますか?

D:マーティン・マクドナーの脚本を読んだ時、今まで観てきたもの、読んできたものの中で一番笑ったんだ。僕がとりわけアイルランド人気質を感じるようなダークなユーモアのセンスがそこには描かれていたんだよ。それを知ったうえで、このドラマにさらなるバカバカしさ、ドタバタ喜劇の要素を取り入れるのが僕にとってはとても楽しかった。セーラ、ポム、トム、リズ、僕らの父の演技を見ていると……彼らも彼ら自身のユーモアのセンスとエネルギーをこの作品に取り入れてくれた。彼らはこのドラマのユーモアのセンスを理解して、さらに深く掘り下げてくれたんだ。何にせよ『フランク、アイルランドのダメ男。』には、アイルランド人のユーモアのセンスがそこら中に溢れていると思うよ。

B:ある意味、ヒュージョンのようなものだよね。このドラマにはアイルランド人の感性ももちろんあるけど、他にも僕たちが観て育った『ザ・シンプソンズ』やイギリスのTV番組から受けた感性も融合していると思う。例えば、『デリー・ガールズ~アイルランド青春物語~』やシットコムの形式をした作品の数々には、こうしたふたつの感性が融合した作品がある。『ジム・キャリーはMr.ダマー』のようなアメリカ特有の要素にアイルランド音楽を融合させるのも面白かった。様々な感性をこのドラマに取り入れてブレンドするのは素晴らしかったし、新しい試みだったと思うよ。
『フランク、アイルランドのダメ男。』
原題:FRANK OF IRELAND
ドラマ公式サイト:https://www.star-ch.jp/drama/frankofireland/sid=1/p=t/
視聴ページ:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0C9FY3K49
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