STAR EX


POSSESSIONS
ポゼッションズ 血と砂の花嫁

トマ・ヴァンサン(監督)、カロリーヌ・ベンジョー(プロデューサー)インタビュー

ポゼッションズ場面写真1

花婿が自らの結婚式で殺害され、新婦が即逮捕される。しかし監督のトマ・ヴァンサンと映画『パリ20区、僕たちのクラス』、ドラマ『ニュー・ポープ 悩める新教皇』などを手掛けた仏大物プロデューサーのカロリーヌ・ベンジョーは、このドラマにはそこからさらに深い物語が描かれていくと語る。

大ヒットスリラードラマ『ボディガードー守るべきものー』の演出を3話分手掛けた後、次のプロジェクトを模索していた監督のトマ・ヴァンサンにプロデューサーのカロリーヌ・ベンジョーが「『ローズマリーの赤ちゃん』と『続・夕陽のガンマン』を合わせたような作品」と説明する一冊の脚本を手渡した。

「カロリーヌがとても熱心にこの企画を僕に提案してきたんだ」とヴァンサンは振り返る。「幸いなことに僕のスケジュールも空いていたし、脚本を読んでみて非常に独特な何か、目が離せなくなる何かががあると感じたんだ。まるでロマン・ポランスキーとマカロニウエスタンをひとつにしたような感じで、今までに見たことがないと思ったよ。これはいいチャレンジになるだろう感じたよ」

本作は、イスラエルに住む若きフランス人女性ナタリーが結婚式の最中に自らの夫となる男性を殺害した容疑で逮捕されるところから幕を開ける。外国で自国民に問題が発生した際に援助を行う職務に就くフランス領事館の副領事であるカリムは彼女の救済に手を差し伸べるが、次第に彼女の謎めいた魅力から逃れられなくなっていく。

ナタリー(ナディア・テレスキウィッツ)は本当にうちのめされ絶望する女性なのか、それとも人を思い通りに操る恐ろしい女なのか。次第にこの事件にのめり込んでいくカリム(レダ・カテブ)は真相を突き止めるべく、ナタリーの謎に包まれた過去や家族へと迫っていく。

『ポゼッションズ 血と砂の花嫁』は、“誰が誰にとりついているのか?”という疑問を文字通り投げかけている。さらに本作はクライムスリラーとも、超自然ミステリーとも呼べるようなストーリーが展開されていく。

「ナタリーは取り憑かれているのか? それともこれはSFホラーストーリーなのか? 幽霊譚なのか、より象徴的な意味での“ポセッション(執着)”なのか。それがこのドラマの基本的なテーマだ」とヴァンサンは説明する。「それとも、これは家庭崩壊の物語か? ナタリーは正気を失った母親の執着から逃れられないのか? この一家の抱える問題から逃れられないのか? ドラマは様々な視点を行き来しつつ、ストーリーを追うごとに謎が深まっていくんだ」

ストーリーの冒頭、ミステリーの影は微塵もない。結婚披露宴で、動転し、混乱した様子のナタリーが新郎を探しまわっている。その後、ふたりが数百人の来客を前にウェディングケーキにナイフを入れようとしているところで、式場が突如として停電する。やがて灯りが戻ったその時、大きなケーキナイフを手に、純白のウェディングドレスに血の染みをつけたナタリーの足元に新郎が命を奪われ倒れていたのだった。

ナタリーは自らの無実をはっきりと訴え、起こったばかりの惨劇に目を疑う。副領事のカリムはナタリーのサポートにあたるが、調査を進めるうちにナタリーの家族の中で起こった奇妙な何かが、この事件の真相を握る鍵となっていることを突き止めるのだった。

「ストーリーにアガサ・クリスティー調の疑惑が次々と浮上していく。それと同時にナタリーへの疑念も強まっていくと同時に、超自然現象の可能性も浮上してくる。ミステリーが最後の最後まで続くんだよ」とヴァンサンは言う。「このドラマは他にはないオリジナリティがある。大抵のドラマは最初の1話、2話が一番面白かったりするけれど、これは違うよ。ストーリーを追うごとに面白くなり、最後まで目が離せないんだ」

「さらにこのドラマのヴィジュアルスタイルも舞台もエピソードを重ねるごとに変化していくんだよ」とヴァンサンは続ける。「最初はイスラエル南部にあるネゲヴ砂漠の新興街ベエルシェバから始まる。とても詩的な場所なんだ。砂漠ではないけれど、岩や棘のある植物が生えていて、視覚的にも迫力がある。そこからストーリーが進むにつれて、舞台も砂漠地帯のより深くへと進んでいくんだよ。そして最終話のメインとなる舞台は何もない場所に建つ一軒家だ。とても説得力のあるパワフルな場所でね、そこにたどり着く過程で、視聴者も登場人物たちの心情の奥深くまで迫っていくことになるんだよ」

ポゼッションズ場面写真2

『ボディガードー守るべきもの―』の成功により、ヴァンサンには数多くのオファーが舞い込んだが、「またあのドラマと同じことをするというのは、選択肢になかった」という。その代わりに彼は新たにチャレンジできるもの、とりわけ自分自身が怖気づくようなプロジェクトをあえて探し求めた。「撮影初日を迎えるのが不安になるほうが、実は自分がいい状態であることを意味しているんだ。今回は撮影初日が来るのが怖かったよ」と笑う。「このドラマはチャレンジだったし、とても楽しかったよ」

TVシリーズ『リターンド/RETURNED』(2012)でリアリティと異世界ファンタジーを見事に描き、世界的な成功を収めたHaut et Court社とカロリーヌ・ベンジョーは、イスラエル人脚本家のシャハール・マーゲンが本作で描いたヴィジョンに魅了された。そして、彼から冒頭のシーンのアイデアを聞かされてすぐに本作でパートナーと組むことに同意したのだった。

「最初にこの企画の話をしたのは4年前だったけれど、そこから長い時間をかけてなり上げていく必要がありました」とベンジョーは語る。「それに、ショーランナーとして確固たるヴィジョンを持った演出家が必要でした。トマは長いこと先のスケジュールまで埋まっていて、ようやく時間が空いたんです。私たちにとっては最高にラッキーでした」

「シャハールはイスラエル人だからフランスの文化のことはあまり知らなかったんです。彼から共同脚本のパートナーとしてフランス人の小説家兼脚本家としても指折りの人物として知られるヴァレリー・ゼナッティの名前が挙がった。彼女はフランス文化への造形も深いし両親がイスラエルで暮らしていることもあって両方の文化に精通している人物でした。これは私たちにもシャハールにとっても見逃せないポイントでしたね」

ポゼッションズ場面写真3

ヴァンサンは、本作のメインテーマは虐待だと語る。視聴者は果たして虐待をしていたのは誰で、誰がその犠牲者なのかという疑問に直面することになる。とりわけ、エスティという刑事が殺人の動機として最初に疑ったのは、ナタリーが夫に虐待されていたのではないか、という線だった。

「ナタリーは殺人者かもしれないが、実は被害者でもあるかもしれない」とヴァンサンは分析する。「もしかして、同時に殺人者でもあり被害者でもあったのかも知れない。そうなると、彼女は誰の被害者だったのか?という疑問が浮かぶ。夫を殺害した犯人は何者で、ナタリーを虐待したのは何者か、というふたつの犯人捜しがこのドラマを通じて描かれていくんだ。さらにそこに彼女は誰から、もしくは何から虐待されていたのか、というSF的な要素が盛り込まれているんだよ」

「忘れてしまいがちなのは、虐待をしている当人も大抵は同じ経験をしているということです」とベンジョーは続ける。「ある意味で母親には息子を教育する責任があるという点がとても重要なポイントになっているんです。このストーリーには宗教も教えも生活様式もまったく異なるふたつの家族の難しさが描かれている。そして、その教えというのは母親から息子に受け継がれているというのがポイントで、このストーリーの中心にもなっているんです。虐待者をテーマにした物語の中でもこれは非常に興味深い視点です」

「根本的なテーマは愛なんだ。というのも、虐待も病んだ愛のカタチといえるからね。歪んだ愛なんだよ」とヴァンサンは語る。「突き詰めればこのドラマは愛についての物語だね」

結婚式から牢獄に入るナタリーの姿を視聴者は目撃することになるが、果たして彼女は信頼すべき人物なのか、同情するべきか、それとも疑うべき存在なのか? 「その全部だよ」とヴァンサンは言う。「疑問はそこなんだ。騙されているのか? 疑うべきか? 味方するべきか? それらすべてがこのドラマを通じて描かれる謎なんだ。結末寸前まで様々な側面から描かれているだけに、一瞬たりとも目が離せなくなるはずだよ」

「ナタリーは何も覚えていないという事実を隠しているのか、それとも本当に何も覚えていないのか? 彼女の記憶が蘇っていく様子は脚本でも非常に微妙なニュアンスで表現されていたよ」とヴァンサンは言及する。「視聴者はナタリーに対して相反する感情を抱くことになるだろうね」

一方で、ナタリーとの最初の出会いから、その謎めいた過去を調査しつつ救済に奔走するフランス領事館のである副領事カリムは視聴者の視点を反映したキャラクターとなっている。

「カリムはナタリーに一目で魅了されてしまう。一目瞭然だよ。とはいえ、彼は事件の真相を知らないし、結末を迎えるまで分からないんだ」とヴァンサンは説明する。「何が起こったのか確信のないままナタリーを守ろうとするんだよ。このドラマは彼の視点から描かれる部分が多い。ナタリーの家族と会った彼はその異常さを目の当たりにする。それからは彼女を魅力的だけれど、危ない人物として捉えるようになるんだ」

さらにヴァンサンは、本作は今までに映画やテレビなどに描かれてきたイスラエルとは一味違う側面を映し出していると語る。「これはイスラエルが抱える紛争を描いたドラマじゃない。概してイスラエルのフィクション作品は非常に政治的になりがちだけれど、本作は異色の作品になっているよ。だから興味深いし、特別だし、おそらくより普遍的なものになっているはずだよ」

元記事:https://dramaquarterly.com/possession-game/ (Drama Quarterly)

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