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『チェルノブイリ』公式インタビューNo.2 ジャレッド・ハリス(ヴァレリー・レガソフ役)

『チェルノブイリ』ジャレッド・ハリス
『チェルノブイリ』ジャレッド・ハリス
Q:ご自身の演じたキャラクターについて教えてください。
JH:私が演じたのはチェルノブイリ原子力発電所事故の調査委員会の責任者であり、開いてしまったパンドラの箱をいかにして閉じるかを模索したヴァレリー・レガソフという科学者だ。ある朝突如として選ばれ、その日の午後には世界中で最悪の場所に行かされていた人物だ。彼は生まれつきの英雄じゃない。もしも彼に「他の誰かに任せることができたとしたら?」と尋ねた、間違いなく「そうしてくれ」と答えただろうね。でもその後、これは自分がやらなければならないと悟り、それが済むまであそこから逃れることはできないと自覚したんだよ。

Q:彼のインタビューや映像はありましたか?
JH:ソビエト連邦がレガソフの関与した資料や遺物を消してしまったけれど、いくつかの映像は無事に残されていたよ。威張った態度の男だったけれど、あれではこの作品には合わなかったね。

Q:本作は彼の自殺から幕を開けますね。なぜ彼は自殺を図ったと思いますか?
JH:彼が命を絶った日は、彼が政治局にすべてが順調である、という虚偽の報告書を提出するはずの日だったんだ。彼は真実を白日の下に晒したかった。まだとある未解決の問題があったからね。だから言わば彼の自殺には目的があったんだ。

Q:ステラン・スカルスガルドとエミリー・ワトソンとの共演はいかがでしたか?
JH:非常にやりやすかったよ。ふたりともとても愉快で、地に足がついていて、エゴが衝突するようなことも一切なかった。相手と張り合うのではなく、互いにベストを尽くしてこの作品に向き合っていたよ。ヴィルニアス(注:撮影が行われたリトアニアの首都※)ではほとんど彼らと一緒に過ごしていたんだ。ステラン(・スカルスガルド)は食通でね、料理の腕も一流だし、素晴らしいレストランの数々を探し出してくれたんだ。美味しいワインの数々を共に長い食事をしながらお互いの知っているとんでもない話を語り合っていたよ。※本作の原子力発電所パートのロケは、リトアニアの廃炉で行われた。

Q:ヨハン・レンクとの仕事はいかがでしたか?
JH:最初から最後までひとりの監督が手がけるのは素晴らしい決断だったね。毎エピソードごとに新しい演出家に間に合わせ的に説明し直す必要がなかったからね。ヨハンはとても率直で単刀直入で、自分の求めているビジョンが明確なんだ。しかもいつも同じカメラクルー、音響クルー、カメラマンと仕事をするから、みんな気心が知れていてすべてがスムーズに運ぶんだよ。多国籍チームでね。カメラクルーはスウェーデン人、音響部はフランス人、助監督たちはイギリス人、ほかにもリトアニアのスタッフがいたよ。おかしいけれどヨーロッパで映画の撮影をする場合、これはとても珍しいことなんだ。

Q:本物の原子力発電所での撮影はいかがでしたか?
JH:気味が悪かったね。とても厳重だったよ。いつも外にはマシンガンを持った男が立っていたんだ。

Q:実際のチェルノブイリ原発事故が起こった時の記憶はありますか?
JH:「外出禁止、特に雨の降る日は禁止」という警告がでたのを覚えているよ。当時はロンドンにいてね、牛乳が飲めなくなった。他にもウェールズ産のラム肉も販売禁止になって、突如としてニュージーランド産のラム肉なら大丈夫ということで市場にお目見えしたことも覚えているね。みんな何か災害が起こるとノストラダムスの予言のことを騒ぎ立てて、彼はチェルノブイリも予言していた!なんて言い出す始末さ。あの時は大騒動だったよ。

Q:今、あの事故を振り返ってみて衝撃を受けたり、驚いたことはありましたか?
JH:私の心に残ったのは人々の英雄的な行動だ。何しろあの事故からそんな話は耳にしたころがなかったからね。あれは取り返しのつかない大失敗の話として語られているけれど、私がこの物語を通じて印象に残ったのは人々の勇気なんだ。彼らは事故発生後、自分たちは生き残ることができないとすぐに理解したはずなのに、事態が悪化するのを食い止めようと行動した。彼らが自分たちを犠牲にしたという部分の物語はまだあまり知られていないんだ。彼らがソビエト連邦を動かそうとしたことは語られていないのさ。ゴルバチョフはこれでソビエト連邦はおしまいだと語ったそうだ。核戦争など絶対に起こすことはできないと悟ったんだ。この惨事を収束させるだけでもかなりの困難なのに核兵器など使えるはずがない、世界を破壊させてしまうだろう、とね。

Q:現在、この物語を伝える重要性があると思いますか?
JH:そうだね。これは誤った管理が招く悲劇について描いた警告の物語でもあるからね。いままでに伝え聞いていることに疑問を投じる物語があることは、いつだって良いことだと思う。それに最も大きな代償を払うことになるのも、最初に被害を受けるのも無関係の人々なんだよ。本作の基になった書籍のひとつに“チェルブイリの祈り(Voice from Chernobyl)”というのがあって、そこには胸が痛むほどの彼らの体験、苦しみ、喪失が綴られているよ。
チェルノブイリ BSスカパー!第一話無料放送が緊急決定! スターチャンネル×HBO
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