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STAR CHANNEL MOVIES『コレット』トークイベント付き特別試写会開催!

鹿島茂氏(フランス文学者・明治大学教授)と山崎まどか氏(コラムニスト)
鹿島茂氏(フランス文学者・明治大学教授)と山崎まどか氏(コラムニスト)
『アリスのままで』のウォッシュ・ウェストモアランド脚本・監督、『はじまりのうた』のキーラ・ナイトレイが主演を務める『コレット』が5月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館他にて全国ロードショーとなります。

フランス文学界で最も知られ、時代を作り上げたアーティストとしても今なお人々を魅了し続ける女性作家シドニー=ガブリエル・コレット。片田舎に生まれ育った自由奔放な少女コレットが、いかにしてフランス屈指のベストセラー作家と呼ばれるようになったのか。彼女が“本当の自分”を見つけるまでの波乱と情熱に満ちた半生を、実力派キャストとスタッフが映画化。魅力溢れるコレットを体当たりで演じたのは、イギリスが誇る人気女優キーラ・ナイトレイ。知性と行動力を持ち合わせるエネルギッシュなコレットを19歳から34歳まで一人で演じている。そして、監督を務めたのは『アリスのままで』のウォッシュ・ ウェストモアランド。

この度公開に先駆け鹿島茂氏(フランス文学者・明治大学教授)と山崎まどか氏(コラムニスト)をスペシャルゲストとしてお招きし、ベル・エポックのパリで愛と自分を貫いたコレットの魅力に迫るトークイベント付き特別試写会を行いました。


フランス文学者でありながら、映画の知識も非常に深い鹿島氏。はじめに映画の感想を聞かれると、「とても面白かったです。キーラ・ナイトレイがコレットになりきっていましたね。フランスの物語を全編英語で描いていて、はじめは戸惑いましたが、慣れてしまえば違和感は感じなくなっていました」と笑う。そもそもキーラ・ナイトレイ扮するコレットの著書は、現在日本ではほとんどが重版されておらず売り切れの状態で、日本人が簡単に目に触れる機会がない。山崎氏が「これまでにコレットの本を読んだことがある方は?」と会場に問いかけると10人ほどの手が上がり、鹿島氏は「意外といるんだね」と驚いた。映画の公開にあわせ、コレットの著書が重版・新刊として発売されることにも触れ「ぜひ読んで見てほしい」と強く訴えかけた。

改めてコレットという人物について説明を求められた鹿島氏は、「20世紀を代表するフランスの作家といえば、プルーストとコレットと言われるくらい。もちろん彼女が生きている間も評価は高かったけれど、死後20年後からこれまでよりもっと高い評価を受けるようになりました。彼女の作品の特徴は文体が素晴らしい点で、これは正直翻訳者泣かせではあるのですが、文章に力があるんです」と力説した。映画にもあるように作家の夫ウィリーに言われ小説を書くようになるコレットだが、ウィリーは女好きの浪費家でまさに絵にかいたようなダメ夫。「はっきり言うとウィリーはなんの才能もない人(笑)。だけど彼には一つだけ才能があった。それは“人の才能を見抜く才能”ですね。「これだ!」と思った若手作家を雇い、その作品を自分の名前で発表して大物になった人物なんです。彼のゴーストライターの中には才能のある人が多かったんですよ」と明かす。

フランス中を席巻し、一大ブームを巻き起こしたコレット執筆の小説「学校のクロディーヌ」。もちろんウィリーの名前で発表された作品だったが、これまでの文学作品とは一線を画す作品であったと鹿島氏は語り、「学校のクロディーヌ」が当時のパリで流行った理由の二つを挙げた。一つは風俗的なこと。フランスでは1881年に中等教育までが公的な教育となる法律ができたんです。その結果女の子たちも公教育が受けられるようになった。1873年生まれのコレットはこの法律の恩恵を最初に受けた世代。女学生文化がどういったものなのか皆が興味を抱いていた時代にちょうど女学校が舞台となる本作がでてきたんですね。二つめは、ウィリーの入れ知恵で女子同士の少し過激なシーンの描写を加えたこと。当時誰も書いたことのない斬新なものでした」と述べる。現在では絶版となっている日本版「学校のクロディーヌ」を古本屋で手に入れ読んだという山崎氏は実際の書籍を持参。 「これは本当に面白いです!なにが面白いって女の子が主人公の少女小説なのに、私は後にも先にもこんなに素行も性格も悪い女の子を見たことがない!自由奔放な不良娘たちばかりがでてきて、酔っ払ってみんなで盗みを働いたりというハチャメチャな出来事が楽しくて仕方がないんです(笑)」と大絶賛。「ぜひ映画を通してコレットを知った方々に声を上げていただき、新訳版が発売されることを夢見ています」と熱く語った。

劇中、コレットが自転車に乗るシーンがあり、その意味について山崎氏が尋ねると「ベル・エポックのフェミニストが「自転車は女性を解放する最大の武器である」と定義しました。自転車に乗れればどんなところへも自分の思いのままに行ける。だからこの時代の女性はコルセットを絞めたままこぞって自転車に乗っていました」と鹿島氏が説明。

さらに話題は女性の解放から恋愛へと移り、「映画でもコレットはミッシーという女性と恋人関係になるわけですが、ベル・エポックのパリはわりとレズビアンも多かったんですか?」という山崎氏の質問に、鹿島氏は「厳密に言うとベル・エポックよりもちょっと前からなんです。当時の女性は、奥さんになるか娼婦になるかの選択肢しかなかった。特に娼婦は元々男性が好きだったとしても、仕事となってくるとだんだんと相手をするのも嫌になってきてしまう。そうなってくると愛を求めて女性に走る娼婦が多かったんです」と語ると、会場からは驚きの声が上がった。それに対し山崎氏は「とても面白いですよね。そういった文化があることを知って、アメリカやイギリスのお金持ちやアーティストの女の子が愛を求めてパリに来るという風潮もあったそうで」と話せば、「そうなんです。特に1920年代~1930年代にかけては“レズビアンエイジ”と呼ばれるくらい、パリに世界中のレズビアンたちが集まってきていた。そしてもちろんゲイ文化も発展しました。一つの文化を築いた時代だと言えますね」と鹿島氏が続け、ベル・エポックの興味深いジェンダーについて説明した。

またコレットを語るうえで外せないのはオードリー・ヘプバーンの存在。まだ有名になる前のヘプバーンをコレットが自身の著作を舞台化する際に主役に抜擢したことで有名。「コレットが偶然街でウェディングドレスを着て撮影をしているヘプバーンを見つけたんですよね。当時の彼女はベルギーの女優さんで、婚約者もすでにいてハリウッドで女優業をやるだなんて夢にも思っていなかった。一目でビビッときたコレットが彼女を口説いたんです」と山崎氏が話をはじめ、「オードリーはバレエをやっていて姿勢がいいんですね。そこが気に入ったらしいです」と鹿島氏。「当時は豊満な体を持つ大人っぽい女性が好まれた時代だったので、細くて筋肉のあるヘプバーンは規格外だった。そんな時代に彼女をスカウトしたコレットの先見の明がすごいですよね」とコレットの才能に盛り上がった。

コレットとベル・エポックのパリに会話も弾んだイベントの終わりには、「映画を観てベル・エポックのフランス文学に興味を持った方は、まずコレットを読んで、次にプルーストを読むと時代のことが二重に分かると思います。ぜひこれによって世界を広めていただければと思います」と挨拶し、観客へメッセージを残した。

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