“キング・オブ・クール”と呼ばれたスティーヴ・マックイーンの代表作から日本初放送となる貴重なエキストラ時代の出演作まで!
全映画28作品を史上初のコンプリート放送。
あわせて、名作TVシリーズ、ドキュメンタリー、オリジナル特番もお届け。
これを観ればマックイーンの全てがわかる!
マックイーン作品を完全網羅!
特集放送は終了しました。
今月の放送作品はこちら3月14日(土)
スティーヴ・マックイーンの主演・製作による名作ドラマ。スピードに憑かれた男たちがレースの最高峰“ル・マン”に挑む。
3月14日(土)
『栄光のル・マン』の製作過程や舞台裏を、秘蔵映像・音声と共に振り返るドキュメンタリー映画。
3月21日(土)
マックイーンがサム・ペキンパー監督と『ゲッタウェイ』に続きタッグを組んだ傑作ドラマ。ロデオを通し失われゆく西部やそこに生きる男の心情を描く。
3月28日(土)
マックイーンの映画人生を、家族や友人、共演者や監督などのインタビューと秘蔵映像で綴ったドキュメンタリー。ソフト未発売。
3月28日(土)
マックイーンが若き天才ギャンブラーを演じた骨太のシリアスドラマ。アクション俳優と見なされていた彼の演技力がついに本作で認められた。
4月4日(土)
マックイーンの出世作となった名作西部劇TVドラマシリーズ。正義を貫く姿、神業早撃ちガンアクションは当時から健在で彼の魅力が凝縮!
※4/6より月~金あさ7:00ほか放送(全94話)
4月11日(土)
『七人の侍』を西部劇に翻案した世界的大ヒット作。マックイーンは本作の大成功で一躍スターダムを駆け上がった。
4月18日(土)
両親を殺された若者が仇敵を追って復讐の旅に出る西部劇。16歳の主人公を、当時30代のマックイーンが颯爽と演じ一流のガンファイトを披露。
4月25日(土)
マックイーンが実在のガンマンに扮し主演・製作を兼ねた生涯最後の西部劇。西部の英雄だったトム・ホーンの波乱の晩年を描く。
あさ6:00〜
マックイーンの映画初主演作となるSFホラー。宇宙から飛来したゼリー状の不気味な生物との壮絶な死闘を描く。
あさ7:30〜
俳優やタレントなどの著名人が、愛する映画や自身の映画愛について熱く語る特別番組。今月のゲストは脚本家/映画監督の三谷幸喜さん。
あさ7:45〜
マックイーンと豪華キャストが共演の名作アクション。連合国軍兵士たちが捕虜収容所からの大胆な脱走計画を決行!
午前11:00〜
1920年代の中国を舞台に、良心を貫く一等機関士をマックイーンが演じた戦争映画。
午後2:10〜
スティーヴ・マックイーンの人生をアルファベットのAからZの頭文字を使って紹介。
午後2:45〜
冒険心を満たすために強盗を繰り返すセレブ紳士のマックイーンと美人保険調査員のフェイ・ダナウェイが繰り広げる犯罪ロマンス。
夕方4:45〜
マックイーン自らハンドルを握り、時速約200キロのスピードで撮影されたスリル満点のカーチェイスが必見のアクション映画の名作。
夕方6:45〜
様々なジャンルの豪華著名人たちが、スティーヴ・マックイーンの魅力を熱く語り合う特別番組。
【出演】中尾ミエ、関根勤、竹中直人、東儀秀樹、板尾創路、片渕須直、やくみつる、ノッチ(デンジャラス)、岡本博(トイズマッコイ)
よる8:00〜
銀行強盗の夫婦の逃亡劇を描いたマックイーン×サム・ペキンパー監督作。後に結婚したアリ・マッグローとの虚実混合のロマンティックな雰囲気も魅力。
よる10:30〜
実話を基に、 牢獄からの脱出に挑み続ける男たちを描いたダスティン・ホフマン共演の人間ドラマ。
深夜1:15〜
超高層ビル火災を描いたパニック映画の不朽の名作。ポール・ニューマンとの夢の共演が見どころ!大ヒットを記録。
深夜4:15〜
実在の賞金稼ぎラルフ・ソーソンの半生を描いたマックイーンの遺作。ユニークなアイデアで迫真のスタントをみせる。
5月2日(土)
TV初放送のマックイーンの貴重な映画初出演作。遊園地のカップル客としてのエキストラ出演ながら細やかな演技をみせる。
5月2日(土)
ミドル級世界選手権保持者ロッキー・グラジアノの伝記映画。マックイーンはチンピラ役でエキストラ出演。終生のライバルとなる主演ポール・ニューマンとの初顔合わせ作。
5月9日(土)
ギャングとなったユダヤ人青年の葛藤の人生を描く。マックイーンは主人公の旧友で心ならずも彼を追い詰める正義感溢れる検事役。
5月16日(土)
第2次世界大戦中のビルマで活躍したゲリラ部隊を描いた戦争アクションドラマ。映画スター・マックイーンの生みの親ともいうべきJ・スタージス監督との出会いの作品。
5月23日(土)
実際にあった銀行強盗の顛末を描いた犯罪アクション映画。マックイーンは銀行強盗の運転手役を引き受ける若者を演じる。
5月30日(土)
潜水艦乗組員の大尉がミサイル用の電算機を使ってギャンブルの大当り狙いで賭けに出る、マックイーンの軽妙な演技が魅力のコメディ。
6月6日(土)
結婚や妊娠、人種問題など現代社会にも通じるテーマをユーモラスに描いた、マックイーン×ナタリー・ウッド共演のラブ・ロマンス。
6月6日(土)
一夜の恋で妊娠した女性を巡る男女の微妙な仲を描いた、マックイーン×ナタリー・ウッドによるラブコメディ。
6月13日(土)
マックイーンが製作総指揮をとり、「人形の家」で知られる劇作家イプセンの戯曲を映画化。長髪に髭にメガネという新たな一面をみせた意欲作。
6月13日(土)
歌手を夢見て家族の為に再起を図りながらも悪循環に陥いる男の悲劇をマックイーンが内省的に演じたメロドラマ。
6月20日(土)
少年と使用人のドライブ旅行をコミカルに描く。牧場のイキの良い青年役のマックイーンのとぼけた演技も見どころ。
6月20日(土)
第二次大戦末、アメリカ軍小隊兵士たちの決死の攻防を描いた戦争アクション。マックイーンの悲壮観漂うラストの演技は見ごたえ充分。
6月27日(土)
空軍基地を舞台に破天荒な機長と良識派の副操縦士の対立を描く。マックイーンが、強欲で破天荒な機長役を熱演。
誰かが作品を観続ける限り、スティーヴ・マックイーンは死なない
“スティーヴ・マックイーンのように、わたしに必要なのは速いマシーンなの” と、シェリル・クロウは歌った。ミュージックビデオでは、彼女がオープンカーやモトクロスのバイクを飛ばし、さらには『ブリット』(68)に登場したフォード・マスタングが坂道でカーチェイスを展開する。グラミー賞で最優秀女性ロック・ヴァーカル・パフォーマンスに輝いたこの楽曲のタイトルは、まさに「Steve McQueen」なのだ。
車やバイクといったモチーフは、『ハンター』(80)や『ブリット』、『華麗なる賭け』(68)や『大脱走』(63)など、マックイーン主演作に欠かせない(トレードマークのような)アイテム。また、ファッションにおける自然な着こなしにおいても、マックイーンは革新的で高いセンスを誇り、ファッショニスタとしても憧れの的。男性はもちろん、シェリルのような女性もが魅力される由縁は、それが唯一無二の個性になっているからでもある。
しかし、俳優としてのスティーヴ・マックイーンは意外にも不遇だった。ドラマ「拳銃無宿」の主演を経て『荒野の七人』(60)でスター俳優の仲間入りをした時には、既に30歳。本格的なデビュー作である『傷だらけの栄光』(56)では、オーディションでポール・ニューマンに主役の座を渡し、マックイーンは端役に甘んじた。『タワーリング・インフェルノ』(74)でニューマンと共演した時、マックイーンがクレジットの順番に拘った理由には、そんな過去の因縁にも起因する。生後間もなく両親が離婚するなど、決して順風満帆な人生ではなかった彼の<影>なる部分は、役作りだけでは生み出せない、実生活に裏付けされた寂寞感を漂わせる由縁にもなっていた。
1962年生まれのシェリル・クロウは、リアルタイムにマックイーンの作品を観てきた世代とは若干のタイムラグがある。筆者もまた、映画館で初めて観たマックイーンの映画が遺作である『ハンター』だったことから、リアルタイムに観てきた世代ではない。しかし、マックイーンの魅力は世代を越えるのだ。それは、なぜなのか? 理由のひとつには、彼が1930年に生まれ、早逝したという点を挙げられるだろう。50歳でこの世を去ったことで、マックイーンの残像はいつまでも50歳までの姿でいるからだ。意外に思えるかもしれないが、マックイーンと同じ<アクターズ・スタジオ>で演技を学んだジェームズ・ディーンは、マックイーンよりも一歳年下の1931年生まれ。彼もまた早逝したことで、永遠の残像を映画ファンに与え続けている。
「拳銃無宿」と同時期に人気を博したテレビの西部劇ドラマに「ローハイド」がある。このドラマで人気を得て、イタリア製西部劇『荒野の用心棒』(64)でスターとなったのが、クリント・イーストウッド。実は、イーストウッドもマックイーンと同じ1930年生まれなのだ。今年90歳を迎えるイーストウッドは、今なお現役の映画監督であり、『運び屋』(19)では俳優業に復帰したことでも記憶に新しい。不遇な時代を経て、どちらかと言えば“遅咲きのスター”であるマックイーンとイーストウッドには、近似したキャリアを指摘できるが、イーストウッドが生ける伝説であるとすれば、マックイーンは早逝したことで、ハリウッドの伝説的なアイコンとなった感がある。
今なおスティーヴ・マックイーンが映画ファンを魅了し続けるのは、映画の中の姿がこれ以上変わることがないからだ。それは、人生の早い時期にキャリアの幕を下ろしてしまったマックイーンにとって不幸なことだが、同時にファンの記憶に残り続けるという点では幸せなことでもあるかも知れない。人は二度死ぬと言われている。それは、肉体的な終わりを迎える<死>と、人々の記憶から消えてしまう<死>だ。そういう意味で、スティーヴ・マックイーンは死なない。我々が作品を観続ける限り、スクリーンの中で永遠に生き続けるからだ。
(映画評論家・松崎健夫)