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COLUMN

メディア王の座をめぐる生々しい後継者争い。
英米実力派スタッフが贈る社会派ドラマ『キング・オブ・メディア』

絶えず挑戦を続け、米国TV界を牽引し続けるHBOが新たに手掛けたドラマ『Succession』。誰もが羨むメディア王一族の裏側を描き、現代版リア王とも呼ばれている本作は本国で高い評価を獲得。そんな話題作が『キング・オブ・メディア』という邦題で日本上陸を果たした。

舞台はニューヨーク。一世代で世界有数の巨大メディア複合企業を築き、成功を収めたローガン・ロイ。各国の要人とも交流を深め、多大な影響力を持つ人物として名を馳せていたが、老いには逆らえず、認知症のような症状が見え始めていた。後継者候補の4人の子供たちはと言えば、長男は農業に明け暮れ、三男はお堅いビジネスには無関心、末娘は政界の仕事に夢中。野心家の次男ケンダルが後継者の最有力候補と考えられていた。しかしローガンが脳出血で倒れたことを機に、事態は一変。それぞれが胸の内に燃やしていた欲望が爆発し、後継者争いが勃発する。

日本で生活している我々にとってはあまり馴染みがない話だが、メディア王が実在するアメリカでは妙に生々しい内容だ。本作のモデルではないかと噂されるその人物とは、21世紀フォックスやニューズ・コーポレーションを所有するルパート・マードック氏。長者番付ランキング常連の億万長者で、政界にも通じ、大きな影響力を持つことで知られており、4度の結婚で6人の子供を儲けるなど波乱万丈な私生活も話題になっている人物だ。製作陣は彼の物語ではないと否定しているが、連想してしまうのは無理もない。

本作で描かれているメディア王ローガン一族も家庭環境は複雑。3度の結婚で4人の子供がいるが、現在の妻マーシィと子供たちに血の繋がりはなく、交流も少ない。そんな彼女を家族信託に入れたいとローガンが言い出したことで、醜い骨肉の争いが繰り広げられることに。

一族郎党の様子をダークユーモアたっぷりの社会派ドラマに仕上げたのは、英米の実力派喜劇作家たち。英国からは『ピープ・ショー ボクたち妄想族』で知られ、『IN THE LOOP』でアカデミー脚色賞にノミネートされた、ジェシー・アームストロングが参加。一方米国からは『マネー・ショート 華麗なる大逆転』でアカデミー脚色賞を受賞したアダム・マッケイ、彼と『俺たちニュースキャスター』でコンビを組んだウィル・フェレルも製作総指揮として名を連ねている。

そしてHBOのドラマといえば毎度注目を集めるのは豪華な出演者。本作でも映画界・TV界で活躍する実力派俳優たちが集結した。一家の長で偏屈親父ローガン・ロイを『ボーン・アイデンティティー』『X-MEN2』のブライアン・コックス、妻マーシィ役を『ブレードランナー2049』『ミュンヘン』のハイアム・アッバスが演じている。長男コナー役にはドラマ版『エクソシスト』のアラン・ラック、次男ケンダル役を『ジャッジ 裁かれる判事』のジェレミー・ストロング、三男ローマン役を『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のキーラン・カルキン、末娘シヴォーンを『プリデスティネーション』のサラ・スヌークが演じている。お察しの通りキーラン・カルキンはマコーレ・カルキンの弟。今回演じたローマンのような、ずる賢いがどこか憎めないキャラクターは得意分野。ぼんぼんの道楽息子という憎たらしいけれど好きになってしまう役柄には適役だ。

昨今、急速に変化しているメディア業界が舞台というのも見どころのひとつ。欲しいものをありのままに手にしてきた成功者一族が岐路に立たされた時、露わになるそれぞれの思惑と会社の行く末とは。シニカルな社会派ドラマを、妙な現実味と共にお楽しみいただきたい。

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