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COLUMN

ポルノ産業の勃興、大きく変わるニューヨーク、そしてその街に生きる人々の姿をリアルに描いた『DEUCE/ポルノストリートin NY』はドラマファン必見の群像劇だ!

ニューヨークで最も華やかな場所タイムズスクエア。ブロードウェイ・シアターが立ち並び、有名企業が軒を連ね、世界一有名な新年のカウントダウンが行われるこの街は、かつてニューヨークで最も治安の悪いエリアだった。通りには娼婦たちが立ち並び、あちこちで麻薬が売買され、強盗・レイプ・殺人も日常茶飯事。そんな掃き溜めのような街を人々は“DEUCE(デュース)”と呼んでいた。

HBO製作の『DEUCE/ポルノストリートin NY』は、一世を風靡したドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』のデヴィッド・サイモンとジョージ・ペレカノスのコンビが送る傑作群像劇。70年代から80年代にかけての街の移り変わりと人々の暮らしの変化が、史実とフィクションを織り交ぜながら、当時のファッションや音楽によって色鮮やかに描かれる。

シーズン1で描かれるのは1971年から72年にかけてのタイムズスクエア。ダスティン・ホフマンの『真夜中のカーボーイ』に描かれていたような、荒廃しきった頃の“DEUCE”が舞台だ。ドラマは2つの流れで構成される。1つは娼婦とポン引きのドラマ。何も知らず田舎から出て来た娘たちは、ターミナル駅でポン引きにスカウトされる。そして気が付けば“愛と薬と暴力”で支配され、娼婦としてストリートに立たされていた。そんな娼婦たちの中で主役格なのが、幼い我が子を養うため、家族に秘密で娼婦となったアイリーン(マギー・ギレンホール)だ。他の娼婦と違ってポン引きの言いなりにならない気高さを持つ彼女は、勃興し始めたポルノ映画という新しい世界でメキメキと頭角を現してゆく。

ドラマのもう1つの流れは、イタリア系の双子の兄弟とその義兄の物語。しがない仕事では食っていけない彼らは、イタリアン・マフィアの力を借りて、“覗き部屋”や“マッサージ・パーラー(売春宿)”など様々な“グレーな仕事”に手を染めてゆく。性格が対照的な双子の兄弟フランキーとヴィンセントを一人二役で演じるジェームズ・フランコは、本作の大きな見どころのひとつだろう。

そしてシーズン2は5年後の1977年から1978年の夏にかけての物語が描かれる。ロバート・デ・ニーロの『タクシードライバー』のような、ポルノ映画館が立ち並んでいた頃のタイムズスクエアだ。

テレビでは『サタデー・ナイト・ライブ』のジョン・ベルーシが“サムライ”で大ブレイク。ジョン・トラボルタの映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が公開され、ディスコ・ブームは絶頂期を迎えていた。バーやライブハウスではニューヨーク・パンクが盛り上がり、元セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスは元娼婦の恋人ナンシーとNYへ拠点を移し、あの悲劇を迎える。

また、NYの新市長にはユダヤ人のコッチが就任。ミッドタウン再開発計画のために“DEUCE”の浄化作戦を画策する。しかし新市長には同性愛者だという噂が付きまとっていた…。

そして1978年前後といえば、現アメリカ大統領ドナルド・トランプがミッドタウンにトランプタワー建設のための用地買収を仕掛けていた頃でもある。ここから若き不動産王トランプによるNYにおける怒濤の再開発ラッシュがスタートするのだ。

はたしてこれらのNYの歴史が、どのようにドラマで描かれるのか。ポルノと街の再開発という男性的なテーマにもかかわらず、シーズン1では8話中4話が女性監督による演出で話題となったが、シーズン2ではその割合が9話中7話にまで上昇。これも見どころのひとつである。

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