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COLUMN

もはや映画!!
『ゴーン・ガール』原作者の処女作をエイミー・アダムズほか超一級製作陣がドラマした“HBO”ミステリー『KIZU-傷-』

エイミー・アダムズ。彼女の名を聞いて真っ先に思い浮かべる作品は何だろうか。スーパーマンの恋人ロイスを演じた『ジャスティス・リーグ』という方もいれば、言語学者役が記憶に新しい『メッセージ』という方もいる。冴えないOLがハマり役だった『ジュリー&ジュリア』という方もいれば、プリンセスとして美声を披露した『魔法にかけられて』を挙げる方も多くいることだろう。

出演作は50作品以上。5度のアカデミー賞ノミネート歴をもち、来年には俳優歴20年目を迎えるアダムズ。こんなにも各ジャンルで代表作をもち、幅広い世代に親しまれている女優は少ないのではないだろうか。豊かな赤毛と大きな瞳はまるで人形のような愛らしさ。しかし彼女の人気の理由は、その演技力と表現力にあるといえる。そんな彼女を主演に迎えたミステリードラマをHBOが制作。その名も『KIZU-傷-』。

本作はギリアン・フリンのデビュー作にして英国推理作家協会2部門受賞を果たしたベストセラー小説をドラマ化したもの。ロザマンド・パイクとベン・アフレックが夫婦役でW主演した『ゴーン・ガール』やシャーリーズ・セロン主演の『ダーク・プレイス』など近年次々と映画化されているフリンのミステリー。原点である本作のドラマ化にあたりフリン自ら脚本と製作総指揮を務め、撮影に参加している。

物語の舞台は人口2000人ほどの小さな町“ウィンド・ギャップ”。古びた看板や錆びついたクラシックカーが並ぶ極めて平凡なこの町を“昔からの金持ちと貧乏白人の町”と呼ぶカミール・プリーカーは町を離れ、新聞記者として働いていた。ある日ウィンド・ギャップで若い少女の絞殺事件に続き、失踪事件が発生したと情報が入る。感情的な記事を求める上司から故郷を取材し、記事を書き上げるよう指示されたカミールは、久しぶりに帰省することに。そこでは“過去”を乗り越え再婚し裕福な生活を送る母が豪邸を築いていた。

カミールは居心地の悪さを感じながらも仕事に集中しようするが、そこは例に漏れない田舎町。近親者へ聞き込みを行うものの、よそ者に冷たい閉鎖的な町ゆえに、思うように情報を集められずにいた。そんな中、新たに少女の遺体が発見される。記者として“連続殺人事件”に関わるほどに、フラッシュバックする思春期の思い出。記憶の中で少女のカミールは仲睦まじく妹と遊んでいたが、今、彼女の隣に愛する妹の姿はない…。いったい彼女の過去に何があったのか…。

エイミー・アダムズが演じるのは常にアルコールを摂取し、取材に回る記者カミール。そんな彼女の思春期時代を演じるのは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』で頭角を現したソフィア・リリスだ。2019年に公開される『IT~』の続編ではジェシカ・チャステインの若い頃を演じるリリスだが、本作でも見事にアダムズとリンクし、物語に一貫性を与えている。そんなカミールの母アドーラを演じるのは『メイズ・ランナー』や『シャッターアイランド』の名女優パトリシア・クラークソン。TVシリーズではなかなか見ることができない豪華な母娘が実現した。そして、カミールに心を開くウィリス刑事を演じるのは『アルゴ』や『夜に生きる』で知られるクリス・メッシーナ。主演のアダムズとは『ジュリー&ジュリア』で夫婦役を演じて以来の再共演。アダムズは再共演について「とても楽しかったわ。このドラマは女性主導の物語だけど、いつもこうして素晴らしい俳優たちが参加してくれて本当にラッキーだと感じているの。」と明かした。

そのほか製作陣も大変豪華。『ゲット・アウト』のジェイソン・ブラムが製作総指揮に名を連ね、『ビッグ・リトル・ライズ』でエミー賞監督賞を受賞したジャン=マルク・ヴァレが全話監督を務める。閉鎖的な不気味な町で巻き起こるミステリー・ホラーをサプライズヒットに導いたプロデューサーと、女性心理を巧みに描き、社会現象を巻き起こすヒット作を生み出したディレクターがタッグを組んだということは、このジャンルで頂点を極めたといっても過言ではない。

豪華な製作陣の力量を裏付けるように、本国での初回放送視聴者数は150万人を記録。ニコール・キッドマンやリース・ウィザースプーンら豪華女優陣が出演したヴァレの代表作『ビッグ・リトル・ライズ』の記録を自身で塗り替えることとなった。
全8話の本作を観ると、つくづく劇場映画とTVドラマの垣根はなくなりつつあると痛感させられることだろう。

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