イントロダクション
グザヴィエ・ドランがTVドラマに初挑戦!“自身の200%をかけた”意欲作が登場
2019年に19歳で発表した長編デビュー作『マイ・マザー』がカンヌ国際映画祭監督週間で上映されたことをきっかけに世界中から注目を集めてきたカナダの俊英、グザヴィエ・ドラン。続く『胸騒ぎの恋人』や『わたしはロランス』も同映画祭で上映され、2014年に『Mommy/マミー』で審査員賞を受賞、2016年には『たかが世界の終わり』でグランプリを受賞し“カンヌの申し子”の異名がつくほど、その才能で話題作を生み出してきた。今回、そんな彼が満を持してTVドラマに初挑戦。“自身の200%をかけた”と語る本作は、ドランの作家性を凝縮したような濃密な5時間に仕上がっており、「家族」などこれまでも語られてきたテーマはもちろん、空想と現実が突如として切り替わる独特の演出や、細部にまでこだわった美術や衣装など、ファンにとっては様々な過去作を彷彿とさせるたまらない要素が詰まっている。
映画音楽の巨匠ハンス・ジマー&デヴィッド・フレミングによるオリジナル楽曲が実現
音楽は『DUNE/デューン 砂の惑星』でアカデミー作曲賞を受賞した巨匠ハンス・ジマーが担当。彼と共に同作の音楽を担当したデヴィッド・フレミングと再びタッグを組み、美しいオリジナルスコアで物語にひりひりするような緊迫感を与えている。実は、当初予定していた音楽家が降板し困っていたところを、自身と同じくケベック州出身のドゥニ・ヴィルヌーヴの紹介でハンス・ジマーの連絡先を教えてもらったというドラン。忙しいから無理だろうと「ダメ元」で電話をしたというが、なんとハンス・ジマーは快諾。カナダ出身の天才監督同士の絆が新たな可能性を切り開くこととなった。もちろんドランの作品らしく印象的に様々な曲が使われる演出は健在で、カナダ出身のセリーヌ・ディオンのほか、OASISやルーファス・ウェインライトなど人気ミュージシャンによる楽曲が登場するのもポイント。
“あの夜”いったい何が起きたのかー。ラスト15分まで展開の読めない究極のサスペンス
本作ではケベック州の郊外を舞台に、30年前に起きた事件に時を超えてかき乱される家族の姿を、過去と現在を行き来しながら緊迫感たっぷりに描く。メインとなるのはそれぞれが問題を抱える四人の兄妹とその家族で、ラストの15分まで展開が全く読めない究極のサスペンスとなっている。その一方で、ドランが今まで描き続けてきた家族の物語でもあり、キャラクターたちが事件に、お互いに、そして自分自身に向き合う姿を、緻密な構成で映し出している。ホラーやスリラーといったジャンル映画の質感も持ちながら、家族を描いたヒューマンドラマでもあるという、ドランにしか描けない新たな世界感が生み出された。
カナダの劇作家ミシェル・マルク・ブシャールの演劇をドラマ化し、脅威のIMDb 8.4点という高評価をマーク
原案はドランと同じくケベック州出身の劇作家、ミシェル・マルク・ブシャールの同名舞台。ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で国際批評家連盟賞を受賞した『トム・アット・ザ・ファーム』もブシャールの戯曲をドランの脚本・監督・主演で映画化した作品であり、今回はそれに次ぐ舞台の映像化となる。2019年に舞台を見て衝撃を受け、上演中にすでに頭に映像が浮かんでいたというドランは早速製作に乗り出し、ついにTVドラマが完成した。そんなドランとブシャールというタッグが復活した今作では、IMDbで脅威の8.4点という高評価を獲得。さらに2023年1月にはサンダンス映画祭でも上映され高い評価を受けるなど、世界的な注目を集めている。※2023年1月末時点
“ドラン組”おなじみ俳優から原作舞台のオリジナルキャストまで、ケベック州出身の実力派俳優が集結
ドラン作品では母親役で常連のカナダを代表する名優アンヌ・ドルヴァルが、本作でも4兄妹の母親役で出演。主要キャストの4人は原作となった2019年の舞台のオリジナルキャストがそのまま同じ役を演じており、骨太のキャスティングも見どころ。さらに『レ・ミゼラブル(2019)』でセザール賞の有望若手男優賞を受賞したジブリル・ゾンガが、ジュリアンの大学の教員役で出演するなど、脇を固める実力派俳優陣にも注目だ。