イントロダクション
オーストラリアで猛威を振るった2019年~の大規模森林火災をドラマ化
”黒い夏(Black Summer)”と呼ばれる、2019年秋から2020年上旬にかけてオーストラリアで約半年間にわたり猛威を振るった森林火災は、犠牲者33人、30億頭以上の野生動物が犠牲になり、3000戸以上の住宅が焼失するという甚大な被害をもたらした。クリエイターのトニー・エアーズは、命からがら火災を生き延びた友人を持ちながら、当時何もできない自分に無力さを感じ「ストーリーテラーとして、ドラマを通じてこのトラウマ的な経験を周りの人と話し乗り越える機会になれば」と、大きな被害を受けたニューサウスウェールズ州北部在住で、実際に家を失った多数の友人に住む場所を提供していたベリンダ・チャイコと共に制作を決意した。この惨事を身近に経験した2人だからこそ作れたリアルな描写と人々の心に寄り添った脚本に心を揺さぶられる。
エリザ・スカンレン、サム・ワーシントンらオーストラリア出身の実力派俳優が集結
出演は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』や『ベイビーティース』で注目度急上昇中のエリザ・スカンレン、『アバター』のサム・ワーシントン、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのミランダ・オットー、『FRINGE/フリンジ』のアナ・トーヴら。通常ハリウッドなど海外で働いていて不在のことが多いビッグネームの俳優たちだが、コロナ禍で帰国していたために豪華なキャスティングが実現し、6話構成のアンソロジー各回に豪華さと安定感を与えている。また、スカンレンと共に消防隊員を演じた『ウェントワース女子刑務所』にも出演のハンター・ペイジ=ロカードをはじめとする先住民族アボリジナルのキャストや、アジア系、アフリカ系など多様なオーストラリアを表した配役にも注目したい。
最新LEDスクリーン技術で炎の中のシーンをリアルに撮影
消防車が炎の中で足止めされるシーンの撮影は、『マンダロリアン』でも使用され、コロナ禍でできないロケーション撮影がスタジオで可能になったと話題になったLEDスクリーンを使用し撮影を実行。これまで一般的だったグリーンスクリーンをLEDパネルに置き換え背景に森林火災を映し出し、本物の炎や煙、火の粉も使い5分程のシーンを3日がかりで撮影、実際に熱を感じる事で、よりリアルに演じられたとキャストも絶賛している。
オーストラリア・アカデミー賞で計10部門ノミネート
2021年9月にオーストラリアで初放送された本作は、オーストラリア・アカデミー賞で合計10部門にノミネートされ、テレビ部門の作品賞、音響賞、撮影賞の3冠に輝いた。イギリスでは同年10月にBFIロンドン映画祭で上映された。