さて、舞台版はその後イタリア(以下、筆者が確認できた範疇だが…2016年と、つい最近の2024年5月)、スイス(2018年と2023年)、スペイン(2018年)、ドイツ(1994年と2023年)で翻案上演、または再演されている。各国ヴァージョンではそれぞれの国の現代史に置き換えられており、いろいろと勉強になりそうだ。また本作は2022年に4Kレストアが施され(今回の放送・配信でご覧いただくのも、この最新レストア版だ)フランスでは劇場で再公開もされたが、当の監督スコラは今日、若干忘れられた存在になっちゃった…?
晩年は、2016年の逝去の直前までオペラ演出に力を入れていたスコラ。2000年代の作品が(ミニシアター文化の“変質”と共に)日本で公開されなくなり、オペラにシフトしたためか監督の本数自体も少なくなって、毎年恒例の「イタリア映画祭」で『ローマの人々』(未)や前述『フェデリコという不思議な存在』(後に一般公開された)を見たけれど、作品が小粒になっちゃったな…と感じさせられた。
そのせいか映画ファンの間でスコラの名前が話題に上らなくなった印象だが、代表作とされる『La Terazza』(カンヌ脚本賞受賞)等、まだまだ輸入されていない作品が多い。今回の『
ル・バル』の放送と配信をきっかけに、改めて注目してもいいんじゃないか。
差し当たって次は、サントラさえ発売されているのに、これまたVHS止まりで【激レア化】した、『あんなに愛し合ったのに』の復活なぞ、如何でしょうかねぇスターチャンネルさん?!(笑)