STAR CHANNEL MOVIES『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』公開記念

ソフィア・コッポラ監督特集

スターチャンネルがお届するSTAR CHANNEL MOVIESに、ソフィア・コッポラ監督作品『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』が登場!
2月23日(金)の公開を記念し、ソフィア・コッポラ監督の劇場公開全作を特集放送!!
デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』から、アカデミー賞®を受賞した『ロスト・イン・トランスレーション』、日本中に旋風を巻き起こした『マリー・アントワネット』、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『SOMEWHERE』、エマ・ワトソン主演の青春映画『ブリングリング』まで、劇場公開全作を一挙放送!
【STAR1 プレミアム 字幕版】 2/17(土)午前11:30~  一挙放送(全5作品)
【STAR2 セレクト 字幕版】 2/19(月)~ 2/23(金)よる11:00頃~  連日放送(全5作品)
【STAR3 吹替専門 吹替版】 2/26(月)~ 2/28(水)よる7:00頃~  連日放送 ※26日(月)&28日(水)は夕方5:10頃~ 2作連続放送(全5作品)  
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ソフィア・コッポラ監督特集(全5作品)

  • ヴァージン・スーサイズ

    ソフィア・コッポラの監督デビュー作となる青春ドラマ。自殺を遂げた5人姉妹の姿を、美しく繊細な映像で綴る。

    放送日2/17(土)午前 11:30ほか

  • ロスト・イン・トランスレーション

    異国の街“東京”で偶然知り合ったアメリカ人男女の淡い恋心を、繊細な演出で紡ぎ出したロマンティック・ストーリー。
    ★アカデミー脚本賞受賞

    放送日2/17(土)午後 1:15ほか

  • マリー・アントワネット(2006)

    ソフィア・コッポラ監督が贈る歴史ドラマ。悲劇の王妃の絢爛豪華な生活と孤独な内面を、ポップなテイストで描き出す。
    ★アカデミー衣裳デザイン賞受賞

    放送日2/17(土)午後 3:15ほか

  • SOMEWHERE

    ソフィア・コッポラ監督が、映画スターの父親と、離れて暮らす思春期の娘との触れ合いをハートウォーミングに描いたドラマ。
    ★ヴェネチア国際映画祭金獅子賞(最高賞)受賞

    放送日2/17(土)夕方 5:30ほか

  • ブリングリング

    ソフィア・コッポラ監督×エマ・ワトソン主演の青春ドラマ。実際の事件を基に、セレブの豪邸を狙い窃盗を繰り返す若者たちを描く。

    放送日2/17(土)よる 7:15ほか

STAR CHANNEL MOVIES『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ

ソフィア・コッポラが挑んだ新境地
史上最も豪華なキャスト陣を迎えた 極上のスリラー

アメリカ南部の世間から隔絶された女子寄宿学園に暮らす美しき女性7人。ある日、負傷した北部の敵兵に遭遇し屋敷へと運び手当をする。女性に対し紳士的でかつ美しい男性と触れ合う中で、誰もが彼に心を奪われていく。しかし、次第に彼女たちは情欲と危険な嫉妬に支配されてしまう。秩序を守るか、欲望を取るか、彼女たちが最後に下した決断とは—
本作は、巨匠フランシス・フォード=コッポラの愛娘にして、今や映画界はもちろんファッション界を含め世界中の女性たちのアイコンとして長年に渡り君臨し続けるソフィア・コッポラ監督の長編6作目。ソフィア映画の真骨頂といえば、最高にポップで可愛いガーリーカルチャー全開の世界観であったが、本作はそのイメージを大きく覆す新境地“スリラー”に挑んでいる。
来年2月に日本に上陸する本作、登場人物の如く一度観たらきっとあなたの心もかき乱されるはず。

監督:
ソフィア・コッポラ
キャスト:
ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、コリン・ファレル
提供:
東北新社
配給:
アスミック・エース STAR CHANNEL MOVIES
©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

2018年2月23日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開

コラム

自分の中に眠る“少女”と共に旅を続けるソフィア・コッポラの軌跡

2017年5月に開催された第70回カンヌ国際映画祭において、ソフィア・コッポラは『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』で監督賞を受賞した。南北戦争での負傷兵が“女だけの園”に迷い込み、そこで異常な体験をする…というこの物語は、1971年に公開された映画『白い肌の異常な夜』と同じ原作によるものだ。しかし『白い肌の異常な夜』がクリント・イーストウッド演じる負傷兵からの“男目線”で描かれたものであるのに対し、ソフィア・コッポラの『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は徹底した“女目線”で描かれる。

そして、特筆すべきは、女性監督の受賞は実に56年ぶり、二人目の快挙であったということ。「巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘」「ガーリーカルチャーの旗手」といった形容詞と共に語られることの多かったソフィア・コッポラが、名実ともに「優れた映画監督・演出家」として世界に認められた瞬間であった。

カンヌ受賞に至るまでのソフィア・コッポラの軌跡を追って見て行こう。

■『ヴァージン・スーサイズ』(1999年、原題『The Virgin Suicides』)
ソフィア・コッポラの監督デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』は、ピューリッツアー賞作家ジェフリー・ユージェニデスの『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』を原作とした映画。ヘビトンボとは、長い年月を幼虫として過ごしたのち羽化を迎え、成虫としてわずか一日の命の間に「交尾・産卵・死」を経験する昆虫のこと。美しくも儚い少女たちの姿をヘビトンボに重ね合わせた幻想的で寓話的な物語だ。

まるで“お人形さん”のような五人姉妹は常に噂の的であり、町中で知らぬものはない。近所の男の子たちは姉妹の家のゴミ箱を漁り、さまざまな“戦利品”で妄想を膨らましていた。しかし姉妹に内面には、誰にも理解されることのない“深い闇”があった。かつて“少女”であった母親は、その“深い闇”を知るからこそ、姉妹を徹底的に厳しく管理しようとする。だが、一家が“生(せい)の匂い”を隠そうとすればするほど、人々の好奇心は高まり、姉妹は“深い闇”へ落ち込んでゆく。そして悲劇が一家を襲う…

コッポラファミリーという華麗なる芸術家一族に生まれたソフィア・コッポラの少女時代は、まさにこの姉妹のようなものだったのであろう。世界の映画界に“ゴッドファーザー”として君臨する父、俳優として活躍する叔父叔母やいとこたち。そんな中でまだ幼い彼女は、常に世間の「好奇心の的」となっていたことは想像に難くない。物語の中で自ら命を絶ってしまう姉妹たちの姿は、少女時代のソフィア・コッポラの姿なのかもしれない。

■『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年、原題『Lost in Translation』)
ソフィア・コッポラの名が一躍世界に知れ渡ることになった代表作。この映画で“Tokyo”を知り、渋谷のスクランブル交差点を訪れる外国人観光客は今も後を絶たない。
人生に行き詰まりを感じている中年ハリウッドスター(ビル・マーレイ)と、派手好きで軽薄な夫についていけない若い妻(スカーレット・ヨハンソン)が、まるで他の星のような異国の地“Tokyo”で出会い、すれ違いながらも淡い恋に落ちる物語に、世界は酔いしれた。アカデミー賞でも作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞の主要4部門にノミネートされ、脚本賞を受賞。ソフィア・コッポラが“親の七光り”ではない、本物の作家であることを証明した作品となった。

そしてデビュー作同様に、この映画もソフィア・コッポラ自身の姿が色濃く投影された物語となっている。夫と共に訪れた東京で孤独に陥る若妻は、まさにソフィア・コッポラの姿であった。当時彼女の夫だったスパイク・ジョーンズは、さまざまな一流ブランドやメジャーアーティストと仕事をしていた“超売れっ子”。サブカル系女子のソフィア・コッポラとは対極にある人物だ。この映画は、そんな二人の“ロスト・イン・トランスレーション”でもある。本当の自分を理解してくれるはずの存在だった夫との決別の哀歌であり、自身の旅立ちへの賛歌でもあるのだ。

■『マリー・アントワネット』(2006年、原題『Marie Antoinette』)
世界で最も華やかな宮廷文化が咲いたフランス。わずか14歳でオーストリアのウィーンからパリのルイ16世のもとへ嫁ぎ、革命により悲劇の王女となったマリー・アントワネット。ガーリー文化の元祖ともいえるアイコンを、ソフィア・コッポラは次なる題材に選んだ。色鮮やかな水色やピンクで埋め尽くされたビジュアルは、まるでマカロンのよう。ファッションから音楽まで、夢見る少女の世界が全て現実化したような世界観に圧倒されるだろう。

そして注目すべきところは、その結末だ。これまでの二作は“ぼんやり”と結末を迎えていた。ヒロインは最後まで“大人の女性”になりきれず、“自立への決意”をはっきりとは見せていなかったのだ。しかし本作では、これが強い意志として描かれる。そう、この映画の撮影前にソフィア・コッポラは現在の夫トーマス・マーズと出会っていた。そして映画公開後すぐに第一子ロミーを出産する。夢見る少女から大人の女性へと成長するマリー・アントワネットの姿は、ソフィア・コッポラ自身の姿でもあったのだ。

■『SOMEWHERE』(2010年、原題『SOMEWHERE』)
離婚して疎遠になっていた元妻が、あるとき急に娘を一日だけ預かってくれと男に頼む。男は有名なハリウッドスターで、多くのセレブたちが利用することで知られる豪華ホテルでパーティー三昧の暮らし。久しぶりに会うことになった娘は大きく成長しており、男は戸惑いながらも娘との一日を過ごした。男が刹那的な毎日に戻ったある日のこと、娘が突然男の部屋に現れる。母親がしばらく不在になるため、サマーキャンプの日まで父の部屋に泊めてほしいというのだ。そうして娘と父の束の間の“共同生活”が始まった…

甘美な記憶の断片のような美しいカット、まるでポートレートのような淡々としたストーリー。映画『SOMEWHERE』は、作家ソフィア・コッポラの私小説的作品と言えるだろう。母になり、大人の女性となった自分。しかし心の中には“あの時の少女”がまだ住んでいるのだ。その“少女”は、時折ふいに顔を出す。目の前にいる夫や父には決してわからない女性の心理。それをソフィア・コッポラは見事に描き出す。ヴェネチア国際映画祭で絶賛された本作は、最高賞の金獅子賞を受賞。世界三大映画祭における、初のグランプリ獲得となった。

■『ブリングリング』(2013年、原題『The Bling Ring』)
2008年から翌年にかけて、ハリウッドスターの豪邸ばかりが狙われる窃盗事件が起きた。被害総額が3億円以上にのぼったこの事件は、ある意味で、これまでにない事件だった。なんと犯人たちは、全くのド素人、女の子4人と気弱な男の子1人からなるティーンエイジャーのグループだったのである。しかも彼女たちは貧しい家に育ったスラムの“ギャング”ではない。親の所有する高級車で高校に通うようなリッチな少女たちだったのである。

彼女たちはメディアからいつしか“ブリングリング”と呼ばれた。日本語で言うところの“キラキラ系”。彼女たちの動機は“お金”ではなく、憧れのセレブと“つながる”ことだった。生まれた時から何不自由なく暮らしてきた彼女たちにとって、唯一欠けていたのが“世間から注目される”こと。テレビのリアリティ番組やSNSなどで日々の一部始終を注目されるセレブのように、世界から“憧れられたい”という承認欲求だけで犯行を繰り返していたのだ。だから彼女たちは知人たちに犯行を自慢し、盗品をSNSにアップし続けていた。逮捕後も彼女たちはSNSでの反応を気にし、犯罪歴を己のキャリアに結び付けてビジネスを始める。そこに親たちまで便乗する姿に、多くの人々は呆れるしかなかった…

ソフィア・コッポラは、淡々と少女たちの物語を紡ぐ。欲望を抑えきれず、欲望に飲み込まれていく彼女たちの姿を、否定もせず、肯定もせずに。そこに何か意味や理由を見出そうとはせず、ただ、今という時代を生きる“少女”の姿として…。かつては“知る人ぞ知る”存在だったソフィア・コッポラの映画もファッションブランド(※)も、今や誰もが知る“メジャーブランド”となった。ソフィア・コッポラにとってブリングリングのような少女たちは、未開拓の巨大市場でもある。そこをどう開拓していくのかを、カメラを通してソフィア・コッポラは考えていたのかもしれない。

かつて“ガーリーの旗手”として同世代の女性たちの思いを代弁してきたソフィア・コッポラ。年輪を重ね、ひとりの“大人の女性”になった今、これから何を見せてくれるだろうか。彼女が紡ぐ“女性の物語”から、世界は目が離せない。

(※)1995年、ソフィア・コッポラが幼少時代からの友人ステファニー・ハイマンをパートナーに「MILKFED.(ミルクフェド)」というファッションブランドをスタート。 (引用元:.B’s INTERNATIONAL https://www.bs-intl.jp/brandlist/milkfed/)

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