2017年 53週連続放送記念 私の愛したアラン・ドロン

内に秘めた野性と卓越した美貌に魅せられた著名人が語る、愛のモノローグ

フランス映画界が世界に誇る名優であり、日本でも二枚目俳優の代名詞として、 根強い人気を誇るアラン・ドロン。そんな彼が2017年に映画デビュー60周年を迎えるのを記念し、彼を愛する各界の著名人を招き、その魅力を語ってもらうデジタルTVガイドとの共同連載企画。

壇蜜の愛

ドロンの一番の魅力は、眉間の“皺”だと思います

私が初めてアラン・ドロンを知ったのは子どものころで、母親が好きだったフォークグループ、かぐや姫の「ポカポカ日曜日」という曲の歌詞に出てきたからなんです。確か小学生だったと思うんですが、同じくその曲の歌詞に出てきた渥美清さんは知っていましたけれど、アラン・ドロンは聞いたことがなかったので、“誰だろう?”とずっと印象に残っていました。彼がどういう人なのかをちゃんと理解し、その魅力の虜になったのは高校生の時です。学校の授業で先生が映画「太陽がいっぱい」のビデオを見せて下さったんです。年配の女性の先生だったのですが、おそらくアラン・ドロンが好きだったのだと思います。ただ、45分の授業時間内に収めるため、ところどころ早送りで見せられたので、アラン・ドロンの魅力は感じられても、肝心のストーリーはよく分かりませんでしたね(笑)。なので、大人になってからしっかり自分で見直しました。

その後、確か私がまだ20歳になる前だと思うんですけれど、彼が「サムライウーマン」という香水をプロデュースしていると知り、興味を持って使ってみたところ、日本のお香の雰囲気に似た香りがとても気に入って、それ以来ずっと愛用しています。ですから、私の世代だと俳優さんというより、もしかしたら香水のイメージが強いかもしれませんね。私自身、若いころに俳優をやっていた人だけれど、本職は実業家なんだと勝手に勘違いしていた時期がありましたから(笑)。
私にとってアラン・ドロンの一番の魅力は“皺”ですね。この方の気難しいところとか、妥協しないようなところが、眉間の皺から垣間見えるんです。
ミステリアスで危ない感じもしますし。やはり女性は、少しワルそうで危険な香りのする男性が好きなんですよ。分からないからこそ追いかけたくなるというか。それに、これだけ端正で美しい顔立ちなのに皺があると、“あ、この方も人間だったんだ!”って安心するじゃないですか(笑)。
ただ、私は島国根性が強いせいなのか、外国のカッコいい男性のことは異性というよりも、なぜかその方に雇われている家政婦の目線で見てしまいますね。もし自分が彼の家政婦だったら…って想像するんです。“また今日も旦那様は難しい顔をしていらっしゃる。なにかあったのかしら…?”みたいな(笑)。

まだまだ見ていないアラン・ドロンの映画も多いのですけれど、彼が女性関係でトラブルに巻き込まれる「危険がいっぱい」はぜひ見てみたいですね。イケメンであるがゆえの受難って、私好みのお話だと思うので。もともとソフィー・マルソーの映画も好きなんです。
最近の映画は派手なアクションや甘いロマンスなど、分かりやすさを追求する傾向が強いので、一方で、テーマを深く掘り下げる作品が多い昔の映画にひかれます。これからもっともっと、アラン・ドロンの魅力を味わいたいなと思っています。

【MITSU DAN】

'80・12・3生まれ。秋田県出身。射手座。O型。グラビアモデルとして脚光を浴び、近年は女優としても活躍。「精霊の守り人悲しき破壊神」(NHK総合)に出演中。

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ドロンの怖いくらいクールな眼差しに憧れます

僕にとってアラン・ドロンといえば、やはりダーバン(日本の男性ファッションブランド)のテレビCMが印象に強く残っていますね。あのころって、二枚目の代名詞と言えばアラン・ドロンで、漫才のネタにも使われるほど、誰もが知るスーパースターでしたから。
映画だと、僕の世代では「あの胸にもういちど」に最も衝撃を受けました。'60年代後半から'70年代にかけての出演作はどれも映像的な魅力があり、ドロンも役者としてすごくカッコいいですよね。僕はもともとロックが好きなので、映画でも例えば「イージー・ライダー」みたいな、汚い感じのダメ人間がヒーローになっていくような話に共感するんです。だから、誰が見ても完璧に美しい正統派のドロンは、本来であれば僕の好みの男優とはちょっと違うんですよ。
そんな僕がなぜドロンにひかれるのか、その理由は、あの時々見せる怖いくらいにクールな眼差しなんです。絶対に妥協をしない、決してブレない男というか、彼の持つ芯の強さや凛々しさが垣間見える。そこにすごく憧れます。女性だけでなく男性をもひきつける魅力がありますね。もし神様がアラン・ドロンの顔に変えてくれるというなら、即お願いしますよ。一度でいいから、アラン・ドロンの顔でタモリさんの横に座って「空耳アワー」をやってみたいなあ(笑)。

あとはね、最近の映画の主人公って清廉潔白過ぎるでしょ。性格もすごく良くて、いろいろと悩みはあっても最終的に間違ったことはしないみたいな。裏切ったりとか、人を騙したり殺したりとかしないじゃないですか。
でも、アラン・ドロンはするんだよね。あの端正な顔で。もちろん映画の中での話ですけれど(笑)。美しいものは正しいという既成概念を壊してくれる。僕が映画に求めるものって現実とは全く違う世界なんですけれど、彼の映画では現実社会のモラルが通用しないというか、そういうものとは関係のない世界で話が進行する。そういうところにもひかれますね。

ドロンの主演作で一本を選ぶなら「太陽がいっぱい」です。おそらく誰が選んでも1位に挙がるんじゃないかな。彼のクールな眼差しにはどこか哀しみが漂っているんですが、それが役柄や作品のイメージにピッタリ合っている。ドロンが演じる青年は、最初は好青年のように見えるんだけれど、だんだんと破滅的で破壊的なところが出てきて、そこがすごくパンクっぽいんです。
他人になりすますためにサインの真似を練習するシーンも印象的でしたね。当時は、こうすれば他人のサインを書けるようになるんだと思って、僕も王貞治とか長嶋茂雄とかのサインを練習しました(笑)。
それに、恵まれない環境に育った主人公が、格差を乗り越えるため犯罪に手を染めていくお話なんですけれど、それって将来に不安を抱えている今の若い人にもリアルに感じられると思うんです。50年以上前の映画ですけれど、社会構造は今とほとんど変わっていないですからね。サスペンス映画としても良く出来ているし、ロケーションもリッチで音楽もいい。まさに最上級の映画ですよ。

【HAJIME ANZAI】

'53・12・21生まれ。東京都出身。射手座。O型。イラストレーター。「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)のコーナー「空耳アワー」に出演。映画「変態だ」('16年)監督。

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私がいま存在するのはアラン・ドロンのおかげです

実は、亡くなった私の母親がアラン・ドロンの大ファンでした。一方、父親はオノ・ヨーコさんが大好き。母はドロンに似た父に、父はヨーコさんと同じ日本人の母にとお互いタイプが合致したんです。だからいま私が存在するのは、アラン・ドロンとオノ・ヨーコさんのおかげなんです(笑)。そのことをオノ・ヨーコさん本人にお会いした時に直接伝えたら、「あら、面白い話ね」って仰っていただきました。あとはアラン・ドロンにも同じ話を伝えることが出来たら、私いつ死んでもいいです! ある意味で使命を果たしたようなものですから(笑)。
そうしたこともあって、物心ついたころからアラン・ドロンの存在は知っていました。我が家には彼の記事が載った雑誌や写真集もありましたし、映画もテレビでよく見ていました。やはり、美しさの中に哀しみの漂うところが俳優アラン・ドロンの魅力だと思います。顔立ちは完璧ですよ。いつの時代でも通用するイケメンです。でもそれだけじゃない。瞳の奥に哀しみが垣間見えて、それが演じる役柄にも生かされている。

映画の中でたまにしか笑わないところもいいですね。渋い役柄とか陰のある役柄が多いですし、最後は負けたり死んだりすることも多いので、映画の中で笑うようなシーンがあまりないんですけれど、だからこそ時折りちょっと見せる笑顔がたまらないんです。
スーツの着こなし方ひとつ取ってもカッコいい。また、普通は許されない“白のブリーフ”も“ブーツイン(ブーツにズボンを入れること)”も彼だったら許せてしまう。しかも、年齢を重ねるごとに味が出てくる。まさに正真正銘のスターですよ。

彼の代表作と言えば「太陽がいっぱい」だと思いますが、私がおススメしたい作品は「シシリアン」ですね。いわゆるマフィア映画なんですが、アラン・ドロンを筆頭に出てくる俳優がみんなカッコいい。ボス役の名優ジャン・ギャバンも素敵です。インテリアやファッションもオシャレで、今見ても全然古臭くないんですよ。飛行機のハイジャック・シーンも、まだCGなどない時代なので、今と比べてしまえば技術的には雑なところもあるんですけれど、それでもすごく上手に撮影されていると思います。
だましだまされてのストーリー展開も面白いですし、なによりも主人公たちの不器用で真っすぐな生き方が好きですね。男の美学というか。もちろん、犯罪は悪いことですけどね。私が生まれる前に、これだけ素晴らしい映画が作られていたってことが驚きです。だからこそ、もっとこの作品の魅力を世に広めたいと思うし、アラン・ドロンを知らない若い世代の映画ファンにも見て欲しいと思いますね。

【リリコ】

'70・11・16生まれ。スウェーデン出身。蠍座。A型。「王様のブランチ」(TBS系)で映画コメンテーターを務めるほか、ナレーション、雑誌・WEB連載、女優と幅広く活躍。

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アラン・ドロンには、個性派俳優にも引けを取らない存在感がある

アラン・ドロンといえば圧倒的な二枚目ですよ。これだけ美しい人は、いまだほかに現れていないんじゃないですかね。恐れ多くも、若いころは僕も“和製アラン・ドロン”なんてよく雑誌に書かれました。うれしく思う一方で「俺は俺なんだ」と反発する気持ちもありましたし、なによりも「敵うわけないじゃん!」と思っていました。そこで僕自身、自分の二枚目のイメージを崩したい、いい意味でファンの期待を裏切りたいという思いが強かったので、カッコ良さはドロンに任せて(笑)、僕はコメディーっぽいことをやろうと思ったんです。もともとコメディーは好きでしたし、そういう方が性に合っていたのかもしれませんね。

ドロンは特に歩き方がカッコいい。役者としての見せ方を心得ているんです。ちょっとした仕草とかも粋でね。そういうところが僕は好きでした。形で見せるということは俳優にとって非常に重要で、僕も映画「汚れた英雄」('82年)で主演した時は、監督の角川春樹さんから歩き方についてみっちりと指導されました。それとドロンは、チャールズ・ブロンソンやジャン・ギャバンのような強烈な個性を持った役者と並んでも、存在感で引けを取らない。例えば、ドロンとブロンソンの演技を比較した場合、ブロンソンの方がうまいと言う人が圧倒的に多いと思うんですね。でもそれは見る側の印象によるもので、ハンサムな俳優というのは、どうしても芝居が下手なように見えてしまうんですよ。しかし、僕は演技でもドロンは全く負けていないと思っている。そこが俳優アラン・ドロンのすごさだと思います。

ドロンの映画はほとんど見ていますが、なんといっても好きなのは「冒険者たち」ですね。当時は僕もあの映画を真似してCMを撮っていましたから。普段のイメージとは違う真面目な青年を演じた「若者のすべて」もいい映画でしたし、ブロンソンと共演した「さらば友よ」も素晴らしかった。ドロンがブロンソンのタバコに火をつけるラストは、言葉にせずとも仕草だけで多くを語る名シーンです。彼は本当に作品に恵まれていますよね。同じ俳優としてうらやましいと思いますし、嫉妬心みたいなものすら感じてしまいます。
5月に放送される「サムライ」は、映像の雰囲気がクールだし、ドロンのいでたちもすごく渋くて、当時カッコいいなあと思った記憶があります。久しぶりにもう一度見てみたい作品ですね。

【MASAO KUSAKARI】

'52・9・5生まれ。福岡県出身。乙女座。O型。'70年にモデルデビューし、俳優の道へ。近作に大河ドラマ「真田丸」('16年)など。「美の壺」(NHK BSプレミアム)に出演中。

2017年 毎週日曜よる9時は“アラン・ドロン”

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